超小型衛星「雷神2」がクラス最高の 高解像度地表撮影に成功

2014/07/04

【研究成果のポイント】
  • 超小型地球観測衛星「雷神2」が、搭載された高解像度多波長望遠鏡システム(HPT)を用いて地表のカラー撮影に成功。
  • 地表での解像度は約5mであり、これは重量50kgクラスの衛星としては世界最高です。
  • 今後、高精度な衛星姿勢制御や、世界初の液晶フィルターを用いた先端的観測に挑戦していきます。

【研究成果の概要】

東北大学と北海道大学が共同開発した超小型地球観測衛星「雷神2」は、5月24日(土)、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、その後、各種の試験運用を続けています。これまでに、魚眼CCDカメラ(WFC)を用いて日本付近の昼側の雲画像や夜景を捉えることに成功し、最近は高解像度多波長望遠鏡システム(HPT)を用いた望遠撮影の実験も開始していました。その中で、7月2日(水)に、梅雨の晴れ間を捉えて、地表の詳細な景色を撮影することに成功しました。本プレスリリースでは、得られた画像のうち代表的なもの1点を公開します。

【研究背景】

2009年から、東北大学が衛星バスシステム、北海道大学が搭載観測機器を担当する形で開発を行ってきた、重さ約43kgの「雷神2」衛星が、5月24日に H-IIAロケットによって打上げられました。雷神2には、小型・軽量(長さ38cm、重さ約3kg)な高解像度多波長望遠鏡システム(HPT)が搭載されています。HPTは、仙台高等専門学校と共に開発した液晶フィルターや、特殊セラミックスを使ったミラーなど先端的な技術を応用し、世界初となる400波長での撮影や、地上5mという解像度を目標に掲げてきました。雷神2は打ち上げ以来、すでに魚眼CCDカメラ(WFC)で昼側の雲画像や夜景を捉えることに成功していましたが、最近はHPTを用いた高解像度撮影を目指して運用を行っていました。

【研究成果】

7月2日(水)に、梅雨の晴れ間の日本列島を捉えて、HPTを用い、地表の高解像度カラー画像(RGBの3色画像)の撮影に成功しました。場所は新潟県南部の南魚沼市の一部、約3.2km x 2.2 kmの範囲です。地表での空間解像度は当初目標にしていた約5mを達成しており、重量50kgクラスの超小型衛星としては、世界最高の性能を更新したことになります。こうした成果は、HPTの優れたセンサー技術と、衛星バスシステムの高度な制御が噛み合うことによって達成されました。これにより、国際的に競争の激しい重量50kgクラスの衛星開発において、日本の技術の優位性を世界に示すことができると同時に、このクラスの衛星が、高度な実用衛星へ向けて大きな一歩を踏み出したと言うことができます。

【今後への期待】

今後は、実用性の高い観測を行うための、より高度な衛星姿勢制御方法の確立を目指して運用を行っていきます。また世界初となる、波長選択が可能な宇宙用液晶フィルターを用いたスペクトル撮影に挑戦していきます。成功すれば、大型衛星に匹敵する高解像度のスペクトル計測の手段を手に入れることになります。

■資料:「雷神2」高解像度多波長望遠鏡システム(HPT)による画像例

資料1,2
(資料1)<HPTカラー画像1>
撮影時刻:2014年7月2日 12時09分22秒(日本時間)
新潟県南魚沼市の一部、約3.2km x 2.2 kmの範囲
(資料2)<HPTカラー画像1の説明>
南魚沼市立大巻中学校付近の拡大
【お問い合わせ先】
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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