「鹿島×東北大学 環境配慮型建設材料 共創研究所」を設置

- CO2排出量の削減に資する建設材料の開発を促進 -

2024/04/02

発表のポイント

  • 国立大学法人東北大学と、鹿島建設株式会社は、「鹿島×東北大学 環境配慮型建設材料 共創研究所」を開設しました。
  • 東北大学のリソース・技術と、鹿島建設が有する建設技術のノウハウを組み合わせて、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量低減、吸収・固定化(注1)を実現できる新たな建設材料を開発することで、カーボンニュートラルの実現に貢献することを目指します。

概要

国立大学法人東北大学(宮城県仙台市、総長 冨永悌二、以下 東北大学)と、鹿島建設株式会社(東京都港区、代表取締役社長 天野裕正、以下 鹿島)は、2024年4月 1 日に東北大学青葉山東キャンパスに「鹿島×東北大学 環境配慮型建設材料 共創研究所」(以下 共創研究所(注2))を開設し、プロジェクトを本格始動しました。

具体的には、社会が脱炭素・カーボンニュートラルを目指すなか、インフラストラクチャーの建設段階で排出されるCO2量の削減に貢献すべく、環境配慮型建設材料の研究を実施します。CO2排出量の削減効果が高い未利用副産物の利用に加え、CO2を吸収、固定化することが可能な原材料を探索します。併せて、その製造方法の検討、およびそれらを利用した建設材料の開発と研究を行い、建設材料由来のCO2排出量削減に資する技術の開発を加速します。


共創研究所設置場所のハッチェリースクエア
(東北大学青葉山東キャンパス)

研究の背景

気候変動とそれに伴う自然災害の激甚化は地球温暖化による影響が大きいとされ、その一因が温室効果ガスであるCO2排出量の増加にあることは広く知られるところです。この社会課題解決のために、日本では「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に向けた動きが加速しています。

社会を支えるインフラストラクチャーの建設では、主要な材料として鋼材やコンクリートが大量に使用されます。これらは製造時に多くのCO2を排出するため、その削減が喫緊の課題となっています。鹿島はCO2を吸収する材料を練り混ぜて、コンクリートの製造時に排出されるCO2量を実質ゼロ以下にできる技術を開発、工事への導入を進めています。一方、社会課題の解決に向けては、さらに多くの建設材料の製造過程におけるCO2排出量を削減していく必要があります。

今回の取り組み

東北大学と 鹿島 は、CO2排出量の削減を実現する環境配慮型建設材料の開発、実用化を目指し、2024年4月に「鹿島×東北大学 環境配慮型建設材料 共創研究所」を開設、プロジェクトを本格的に開始しました。

共創研究所では、東北大学が有する多種多様、かつ膨大な材料に関する研究データと、鹿島が有する建設技術のノウハウを組み合わせます。これにより、CO2を吸収・固定化できる安価で大量に入手可能な原材料の開発、ならびにそれを利用した建設材料の開発・実用化を目標に研究を進めます。また、共創研究所を 鹿島 の東北大学内拠点と位置づけ、東北大学工学系の材料研究者との連携を図り、建設材料以外の多様な分野を対象に、CO2排出量の削減に資する材料を幅広く開拓していきます。さらに、それらの材料の社会実装に向けては、工学以外の研究者との連携といった東北大学のリソースを最大限に活用することで、事業化のスキームを検討します。

今後の展開

現時点で未知、未利用のCO2吸収・固定化材料の実用化が達成されれば、将来的に環境配慮型建設材料の安定供給が可能になることが期待されます。また、建設分野以外の工学系材料研究者との連携の過程で、全く新しい材料の発見や若手研究者の育成につながることも期待されます。

共創研究所概要

  1. 名称:鹿島×東北大学 環境配慮型建設材料 共創研究所
  2. 活動内容:
    東北大学の資源を最大限活用した、CO2削減に資する原材料及びCO2固定化方法の探索と、それらを利用した建設材料の技術開発研究の加速化。
  3. 運営体制:
    (1)運営総括責任者
    東北大学 グリーン未来創造機構・グリーンクロステック研究センター
    坂井 吾郎 特任教授
    (鹿島 技術研究所 主席研究員)
    (2)運営支援責任者
    東北大学 グリーン未来創造機構・グリーンクロステック研究センター
    副センター長 久田 真 教授)
  4. 設置場所:東北大学 青葉山キャンパス内 ハッチェリースクエア
  5. 設置期間:2024年4月1日 ~ 2027年3月31日

用語説明

(注1)CO2固定化
CO2固定化とは、二酸化炭素を自然もしくは人工的に閉じ込め、大気中に放出しないようにする取り組みのこと。自然によるCO2固定化とは、陸上での「グリーンカーボン」と海中での「ブルーカーボン」の2種類があり、主に「光合成」による吸収のことをいう。一方、人工的なCO2固定化とは、製造時にCO2と材料を化学反応させて製品に取り込むなど、様々な方法がある。
(注2)共創研究所
大学内に企業との連携拠点を設けるとともに、大学の教員・知見・設備等に対する部局横断的なアクセスを可能とすることで、共同研究の企画・推進、人材育成、および大学発ベンチャーとの連携をはじめとする多様な連携活動を促進する制度。
東北大学 産学連携機構 WEB サイト(共創研究所)
https://www.rpip.tohoku.ac.jp/jp/information/kyoso_kenkyu/

お問合せ先

東北大学産学連携機構 産学共創推進部
TEL:022-795-5275
E-mail:sangaku-suishin@grp.tohoku.ac.jp
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