テラヘルツ波でコンクリート鋼橋外ケーブルの被覆PC鋼線を可視化 非接触・非破壊で外ケーブル内部鋼線の損傷探傷に可能性

2015/11/20

東北大学大学院工学研究科の小山 裕 教授の研究グループは、光と電波の特徴を併せ持つ新しい光 「テラヘルツ波」の光源を独自に開発し、それを用いて、エクストラドーズド橋等の樹脂被覆された外ケーブル内部の見えないPC鋼線を可視化することに成功しました。従来の非破壊検査に用いられる放射線と異なり、浴びても人体に悪影響が無いテラヘルツ波を用いて、これまで検査方法が無いと言われていた外ケーブルの内部PC鋼線を、非破壊で検査出来る画期的な新たな手法への道を拓きました。
本研究の成果の一部は2015年8月に韓国釜山で開催された2015 CLEO (Conference on Lasers and Electro-Optics)  Pacific Rim Conference等で発表されました。
【研究成果の概要】
近年、社会基盤インフラの重要な構造物であるコンクリート鋼橋の建設で、建築コストと安全性そして景観等の観点から、エクストラドーズド橋の建設が相次いでいます。世界初のエクストラドーズド橋として知られ、1994年に竣工した小田原ブルーウェイブリッジ(神奈川県)は、橋長:270.0m最大支間:122.0mです。また海外ででも、フィリピンの第2マクタン橋(橋長:410.0m最大支間:185.0m完成年:1999年)等、多くのエクストラドーズド橋が建設されています。
エクストラドーズド橋構造では、荷重分散のための外ケーブルが重要な構成要素の一つであるが、これはポリエチレン樹脂等で被覆されているため、腐食などに対して極めて安全性が高く、点検を要しないものと考えられてきており、現在、有効な健全度の点検手法が無いと言われています。しかし、長寿命化の観点からエクストラドーズド橋の主要部材である外ケーブルのPC鋼線の健全度診断技術の必要性が叫ばれています。その際、ケーブルの外層被覆を除去して目視点検する破壊的な検査では、点検後に元の状態に修復することは困難であり、かえって水等の侵入による腐食を招きかねない事から、非破壊による内部PC鋼線点検方法が求められています。今回の成果は、研究グループ独自の電子デバイステラヘルツ光源及びレーザーテラヘルツ光源と測定光学系を開発し、それを、ポリエチレン等の樹脂に対して高い透過能を持ち、樹脂内部の金属表面からは効率よく反射される「テラヘルツ波」の特徴を活かすことにより、外層樹脂被覆を除去することなく非破壊で内部のPC鋼線をイメージングすることに成功したものです。
本研究の一部は、文部科学省「廃止 措置研究・人材育成等強化プログラム(旧 廃止措 置等基盤研究・人材育成プログラム)」の支援を受けて行われました。また、外ケーブル試料は神鋼鋼線工業株式会社の協力を頂きました。
<お問い合わせ先>
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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