気中キャビテーションジェット式ロール洗浄装置の開発 -ロール表面粗度の確保と優れた洗浄力を両立!-(ナノメカニクス専攻 祖山教授)

2014/02/17

東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻の祖山均教授は,気中キャビテーションジェット式ロール洗浄装置を新日鉄住金エンジニアリング株式会社と共同開発し,同社が製品化に成功しました。同装置は,従来のブラシ洗浄や高圧スプレー洗浄では達成できなかった「ロール表面粗度を確保」しつつ「高い洗浄力」を発揮し,さらに「ノズルの摩耗低減」と「高圧ポンプの小型化」を実現しました。
 
【背景】
自動車のボディーパネルや家電製品, 建物の屋根や壁等に用いられている亜鉛めっき鋼板を製造する『連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)』では,塗装のノリやプレス性を良くするため,めっき後の鋼板を粗度を有するロールで圧延し, めっき鋼板表面に細やかな凹凸を付与する必要があります。しかしながら操業を続けると, ロールに亜鉛等の異物が固着し, 鋼板に凹凸を付与できなくなる問題がありました。この亜鉛等の異物を除去するため,従来のブラシ洗浄では,ブラシを強く押し付けるとロール表面を削ってしまい, ロール表面粗度を低下させる問題がありました。また、高圧スプレー洗浄では,洗浄力にスプレー液滴の衝突力を用いるので,十分な液滴の速度と量を確保できる大型の高圧ポンプが必要であり,またスプレー用のノズルの摩耗が問題となっていました。

【成果の内容】
一般にキャビテーションジェットは,水槽に貯留した水中に高速のウォータージェットを噴射してキャビテーションを生成します。祖山教授は,水を貯留した水槽を用いることなく,大気中に直接的にキャビテーションジェットを形成する気中キャビテーションジェットを実現しました。更に新日鉄住金エンジニアリング㈱との共同研究により,気中キャビテーションジェットで生成したキャビテーション気泡の崩壊衝撃力をロール洗浄に有効利用する気中キャビテーションジェット式ロール洗浄装置を開発
しました。
 
 
 
【用語説明】
CGL:Hot Dip Continuous Galvanizing Line 連続溶融亜鉛めっきライン
キャビテーション:液体が高速で流れる際に,圧力が低下して気体に相変化する現象。流速に低下により気体から液体に戻る気泡の崩壊時に衝撃力を発生。
キャビテーションジェット:キャビテーションを伴うジェット。通常,水を満たした水槽の水中にウォータージェットを噴射して発生。
気中キャビテーションジェット:同心円状ノズルを用いて大気中に低速のウォータージェットを噴射して,その中心部に高速のウォータージェットを噴射し,大気中に直接的に形成したキャビテーションジェット。
【研究開発に関するお問合せ】
祖山 均(ソヤマ ヒトシ)
東北大学工学研究科 ナノメカニクス専攻 教授
TEL:022-795-6891 / FAX:022-795-3758
E-mail:soyama@mm.mech.tohoku.ac.jp

【報道に関するお問合せ】
東北大学工学研究科・工学部情報広報室
TEL/ FAX:022-795-5898
E-mail:eng-pr@eng.tohoku.ac.jp
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