~ 宇宙ゴミ問題に解決の糸口を ~膜展開式軌道離脱装置実証衛星「FREEDOM」が 「きぼう」放出超小型衛星として採択決定

2014/09/26

9月26日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」から超小型衛星を放出するミッションに、5機の衛星を選定したことを発表しました。その衛星の一つとして、国立大学法人東北大学と産業機械製造メーカの株式会社中島田鉄工所が共同開発する超小型人工衛星「FREEDOM(フリーダム)」が選定されました。

「FREEDOM」はCubeSatと呼ばれる規格に則っており、一辺の長さが約10cmの立方体で、質量が約1.3kgの超小型人工衛星です。「FREEDOM」は「きぼう」から放出後に軌道上において1~1.5m四方の薄膜を展開し、宇宙空間にわずかに存在する空気抵抗を利用して軌道を離脱、地球大気圏への早期再突入の実証試験を試みます。FREEDOMに搭載される膜展開式軌道離脱装置は、近年世界中で盛んに開発が進められている超小型人工衛星が運用終了後に軌道上でスペースデブリ(宇宙ゴミ)化することを防止するために、国連のスペースデブリ低減ガイドラインを基に国立大学法人東北大学と株式会社中島田鉄工所が中心となって共同開発した装置です。最終的には50kg級超小型人工衛星を高度約900kmから25年以内に軌道離脱させる性能の実現を目指しています。「FREEDOM」衛星は今後、技術調整・安全審査等の必要な手続きを経て2016年4月~9月の間にISSに輸送され、「きぼう」から高度約400km、軌道傾斜角約51.6°の円軌道に投入される予定です。


【 FREEDOMイメージ図:放出時(左) 薄膜展開後(右) 】
研究背景

国立大学法人東北大学と株式会社中島田鉄工所は2010年に、当時国立大学法人東北大学と国立大学法人北海道大学が開発し現在運用を行っている重さ約43kgの「雷神2」衛星の軌道離脱手段として、膜展開式軌道離脱装置の開発に着手しました。「雷神2」はDOM1500と呼ばれる1.5m四方の薄膜を展開する機構を搭載しています。その後、より軌道離脱性能の高いDOM2500、CubeSat用のDOM500を開発し、現在4.5m四方の薄膜を展開するDOM4500の研究開発を行っています。「FREEDOM」に搭載されている機構はこれらの研究開発活動の成果を基に最密設計を施した最新の膜展開式軌道離脱装置です。

今後への期待

近年世界中で超小型人工衛星の開発が盛んに行われており、超小型人工衛星の特徴を活かした分野で実利用化が進行しています。今後地球周回軌道へ投入される超小型人工衛星の数は増加の一途を辿ることが予測されています。そのため、将来の宇宙資源の安全且つ有効な利用を保証するために、運用を終了した人工衛星がスペースデブリ化することを積極的に阻止し速やかに軌道から除去する技術が求められています。「FREEDOM」衛星が軌道上実証を目指す膜展開式軌道離脱装置は小型軽量化と同時にインターフェースの簡易化を追求しており、将来的には日本国内外の超小型人工衛星に幅広く利用されることを期待しています。

【お問い合わせ先】
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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