東北大学工学研究科・工学部
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2007/04/18

応用物理学専攻の正井博和助教、藤原巧教授らの研究成果が日刊工業新聞に掲載されました。

工学研究科応用物理学専攻の正井博和助教、藤原 巧教授は、長岡技術科学大学物質・材料系小松高行教授との共同研究により、酸化チタンのナノ結晶粒子をガラス全体に分散させた「酸化チタン透明ナノ結晶化ガラス」の作製に成功しました。年月を経ても物性がほとんど変わらないため、透明光触媒材料に使えば光触媒機能を半永久的に持続する利点があります。ビルや自動車、船舶の窓ガラスなど多岐にわたる用途が期待できます。

前駆体ガラスとして約20%の酸化チタンを含むホウ酸塩ガラスを作製し、この前駆体ガラスを600−650度Cで3時間熱処理することにより結晶化ガラスを得ました。ガラス中に含まれるナノ結晶粒子は直径10nm程度です。
625度C以上で熱処理した結晶化ガラスは、外見上青色を呈しています。透過光を確認できることから、この青色は酸化チタン・ナノ結晶粒子による散乱光と考えられます。
ナノ結晶粒子はガラス表面に沢山あった方が光触媒機能は高まります。そこで前駆体ガラスを300度Cに加熱しながら表面に紫外レーザーを照射する独自の方法により、直径約600nmの粒子がガラス表面上に均一かつ緻密に形成されている構造を効果的に作製できることを示しました。
酸化チタン膜を材料に塗布し、その光触媒機能を利用する従来の手法では年月の経過ととも膜がはく離し、触媒機能が低下します。そのため定期的なコーティングが必要で、コストやメンテナンスの面で課題があります。
今回作製した結晶化ガラスは半永久的に光触媒機能を持たせられ、コーティング膜を用いた従来の透明光触媒材料に比べ、安定性、耐久性や保守、整備にかかるコストの低減が期待されます。また、ガラスベースであることから、板状やファイバー状など種々の形状に加工できる利点もあります。

本研究の内容は、Applied Physics Letters誌(90巻、081907、2007年)に掲載されています。

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