東北大学工学研究科・工学部
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2012/05/09

石炭火力発電プラント用800℃級鍛造材料を開発 -大幅な省エネとCO2削減に期待-


国立大学法人東北大学(総長:里見 進/以下、東北大)は、このたび、株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)とともに、石炭火力発電プラント用材料として、800℃級の蒸気温度に耐えるNi基材料及びCo基材料を開発し、大型鍛造品と実機模擬部品の試作に成功しました。開発した材料は、金属化合物(Ni3Al、Co3(Al,W))を最適に分散させ高温強度特性を向上したもので、合金成分を検討することで大型部品の鋳造欠陥抑制が可能となりました。開発したNi基材料を適用した大型鋳造品(径800mm、重量6トン)、大型鍛造品を用いたボイラ用チューブ、タービン動翼試作材は、マクロ偏析がなく均質であり、通常の製造ラインで問題無く製造できることを確認しました。また、開発したCo基材料を適用した大型鍛造品(径200mm、重量1トン)を試作しました。その結果、製造性と高温強度を両立できる見通しを得ました。Ni基材料は大型部材への適用、Co基材料は中型でより高強度な部材としての適用が期待できます。
発電効率は蒸気温度が高くなるほど向上するため、現在、耐用温度700℃級のNi基材料を用いた高効率火力発電プラントの開発が進められていますが、800℃級の本開発材を適用すれば、蒸気温度の向上が可能となり、さらなる効率向上が期待できます。これにより、大幅な省エネとCO2削減が期待できます。また、高温強度に優れた本開発材を700℃級の高効率火力発電プラントに適用すれば、配管などを薄肉化することで、Ni基材料の使用量を削減でき、素材コストの大幅な低減が可能となります。これにより、CO2排出量の少ない高効率火力発電プラントの普及に寄与します。

本技術は、東北大と日立が共同で受託した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の挑戦研究「耐用温度800℃級蒸気タービン鍛造材料の開発」で実施したもので、2020年以降の適用をめざしています。

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