研究科長・学部長挨拶

概要

研究科長・学部長挨拶

東北大学 工学研究科長・工学部長

東北大学 工学研究科長・工学部長
長坂 徹也
Prof. Tetsuya NAGASAKA

“巨人の肩の上に立つ”という西洋の喩えがあります。12世紀フランスの哲学者の言葉とされ、アイザック・ニュートンがライバルに宛てた書簡の中でも使われているこの比喩は、偉大な先人たちの業績や先行研究などの積み重ねの上に、学術研究の新たな発見や学問の進展が築かれることを意味しています。私たちが新しい知の地平線を見晴るかすことができるのも、先駆者の存在あってのことです。東北大学工学部の長き歩みを顧みる時、私はいつもこの言葉を思い出します。

2019年5月、東北大学工学部は創立百周年を迎えます。「研究第一主義」「門戸開放」「実学尊重」の理念の下で見出された知見、磨かれ鍛えられた技術と開発力は、大学を飛び出し、社会や暮らしを便利・快適、豊かなものに変えてきました。本学部の“多くの巨人”が築き上げた伝統を継承し、さらなる成長・発展を目指す者として、その責任と使命を新たにしています。しかしその前途は、明るさだけに彩られているわけではありません。危機感と緊張感を持って臨まなくてはならない課題が多々あります。

その一つが国際競争力の激化です。近年、目を見張るものに潤沢な資金と豊富な人材を背景としたアジア諸国の台頭があります。本学部・本研究科が、世界の中で研究大学としての存在感をこれまで以上に示していくためには、その礎となる若手研究者・学生の可能性の開花が必要です。持てる能力と潜在力をのびのびと発揮できる自由闊達な研究風土を醸成していくと共に、個々が見聞を広め、語学力を洗練させ、研究コミュニティを構築する海外研修・派遣の拡充も進めていきます。さらに、日本に居ながらにして海外の精鋭と互いに切磋琢磨する人的交流も充実させていきます。

二つ目は、工学が担うべき使命の高度・多様化です。今や工学は、社会の課題や要請に応えていくだけではなく、イノベーションによって新産業を振興し、また新しい価値を創造することにより人間社会をよりよいものにすることが求められています。ワクワクと心躍るような価値創造は、工学が果たせるものです。そのためには独創的なアイデアを高度な技術と結び、工学的妥当性を探りながら、社会実装させていく力が前提となります。本学部・本研究科では、専門知識と起業家マインド、困難に負けない力(レジリエンス)を備えた人財の育成を目指しています。そしてグローバルなフィールドで、未来を志向した研究レースを繰り広げる一方で、地域の中にある大学として産業界等と連携して課題解決を図り、地元の産業基盤を強固なものにしていくことも本学部・本研究科に課せられていることです。

高度高等教育・研究に対する国の積極的な投資が期待できない現状において、これからの私たちは、“巨人の肩の上”で研究・開発の営為を重ねられることに感謝しつつ、自らの力で高い頂を目指し、険しい道を歩んでいかなくてはなりません。インパクトある成果を携えてたどり着いた頂上には、どんな光景が広がっているのでしょうか。青葉山キャンパスから地域へ、日本へ、そして世界へ。私たちの未来への挑戦は始まっています。(2018年4月 若葉芽吹くキャンパスにて)

 

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