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フィリピン共和国 第2号衛星「DIWATA-2」による初画像撮影に成功 - 北大・東北大が人材育成・研究に協力 -

2018/12/19

ポイント
  • フィリピン政府と共同開発した超小型衛星DIWATA-2が,無事に地球周回軌道へ分離。
  • 運用は順調で,本衛星の性能の高さを活かした画像撮影にも成功。
  • 将来的には,日本国内トップクラスの実績を活かし,世界初となる災害時の連続撮影観測を目指す。
概要

北海道大学,東北大学,フィリピン科学技術省先端科学研究所(DOST-ASTI),フィリピン大学ディリマン校が共同開発した,フィリピン共和国の第2号超小型衛星「DIWATA-2」は,平成30年10月29日(月)午後1時8分(日本時間)に種子島宇宙センターからH-IIAロケットによって打ち上げられ,地球周回軌道へと無事に分離されました。DIWATA-2の打ち上げ後の運用はきわめて順調で,打ち上げの2週間後には本衛星の性能の高さを確認する画像撮影に成功しました(参考図 参照)。

【背景】

本プログラム(PHL-Microsat Program)は,2機の地球観測用超小型衛星の開発と打ち上げ,及びそこに搭載されたマルチスペクトルカメラなど先端的観測装置の効果的な利用を目的としたものです。このプログラムは,フィリピン産業・エネルギー・萌芽技術評議会(PCIEERD)の管理によるフィリピン科学技術省の予算で運営されており,北海道大学,東北大学,フィリピン科学技術省先端科学研究所(DOST-ASTI),フィリピン大学ディリマン校の密接な協力により実施されています。日本の両大学は,フィリピン側のスタッフ・学生を大学院の学生として受け入れ,教育・人材育成をしながら,計画の立案から衛星開発・製作,運用,解析に至る作業を共に行ってきました。2016年4月に国際宇宙ステーションより放出された,フィリピン共和国の第1号超小型衛星(DIWATA-1)へのコマンドの送信と画像の受信は,現在はフィリピンのASTI局が行っていますが,そこでは,両大学の卒業生たちが中心的役割を担っています。

【研究手法・研究成果】

DIWATA-1は宇宙への放出以降,3万枚を超える画像を取得しています(それらの画像はPHL-Microsatの公式ウェブサイト: http://phl-microsat.upd.edu.ph/ やTwitter: https://twitter.com/phlmicrosat,Facebook: https://www.facebook.com/PHLMicrosat でご覧になれます)。特に,超多波長スペクトルイメージャー(SMI)とよばれる装置は,全ての衛星の中で最多の波長選択性を持ち,植生や海洋の状態を従来よりもはるかに高い精度で計測できますが,その機能を活かし,フィリピンで深刻な被害を出しているバナナの病気を,宇宙から検出することに世界で初めて成功するなど顕著な成果をあげています。また目標物にカメラの視野を向ける技術を実証し,世界で最も高精度な雲の立体撮影を達成しています。

DIWATA-1の機能と運用技術を向上させたDIWATA-2も,打ち上げ後の運用はきわめて順調で,打ち上げの2週間後には本衛星の性能の高さを確認する画像撮影に成功しました(図1~3参照)。DIWATA-2はこれからも,世界最高の590波長スペクトルカメラによる広域撮影や,高精度・高速指向性能を活かした,高解像度による任意の観測点の高頻度撮影(日に1回程度)など,5種類9台のカメラを用いた先端的な実利用の展開を行っていきます。

【今後への期待】

北海道大学・東北大学のグループは,今回のDIWATA-2を含め,50kgクラスの超小型衛星4機の開発・打ち上げと地球観測に成功しており,これは日本国内の大学・企業の中でトップクラスです。また,超小型衛星を用いた国際共同ネットワークの構築を進めており,9カ国16機関が加盟するアジア・マイクロサテライト・コンソーシアムを主導しています。近い将来,当グループの指導によって各国が開発・保有する,数十機の高機能衛星を連携運用することで,世界初となる災害時の連続撮影観測を実現することなどを目指しています。

【参考図】


図1.モノクロ魚眼カメラ(WFC)による撮像画像
2018年11月6日13時36分(フィリピン時間)にWFCが最初に捉えた南シナ海上空の雲画像。


図2.高精度望遠鏡(HPT)による撮像画像
2018年11月14日13時9分(フィリピン時間)にHPTでフィリピンのカリンガ州タブクを撮像したときのRGBカラー画像(赤緑青の3色合成画像)。画像の右上には水田が写っている。HPT画像の1枚当たりの視野範囲は直下視で3.1×2.3km,地上分解能は約5mとなっている。


図3.マルチスペクトルイメージャ(SMI)による撮像画像
2018年11月15日13時18分(フィリピン時間)にSMIでフィリピンのアウロラ州カシグラン付近を撮像したときのカラー画像(490nm, 550nm, 670nmの3波長の合成画像)。画像の右上から左下にかけて雲で覆われている場所がシエラマドレ山脈。画像の中央付近にはベーラー湾が写っている。SMI画像の1枚当たりの視野範囲は直下視で83.7×62.7km,地上分解能は約127mとなっている。
【お問合せ先】
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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