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微生物が進化の過程で獲得した省エネ泳法を解明 ~細胞の連携が最適な遊泳効率をもたらす~

2020/11/17

発表のポイント

  • 細胞が集まることで、単体で運動するより100倍も運動性能が向上する
  • まるでムカデのように、等間隔で鞭毛を動かすのが最適な泳法となる
  • なぜ生物は多細胞生物へと進化したのか?の謎を解く鍵となる

概要

多細胞生物が進化するにあたっては、単細胞動物が集まることで生まれたとされており、多細胞化には進化上の優位性があったと考えられます。東北大学大学院工学研究科の生体流体力学分野 大森俊宏助教と石川拓司教授らのグループは、微生物の遊泳効率について解析を行い、細胞が集まって集団で運動することで運動性能が100倍も向上できることを発見しました。微生物の世界では、ムカデのように等間隔で鞭毛を動かす泳法が最も省エネルギーであり、現存する微生物は広くこのような泳法を利用していることが分かりました。この結果は、生物が多細胞化することの優位性を示すもので、原初の単細胞生物が多細胞生物へと進化した歴史の謎を紐解く鍵となります。

本研究成果は、2020年11月16日午後3時(現地時間、日本時間11月17日午前5時)PNAS誌(米国科学アカデミー紀要)に掲載されました。


細胞が集まると単体で運動するより運動性能が100倍も向上する

研究内容

背景

太古の昔に誕生した生物は、単細胞生物から多細胞生物へと進化し、現在の繁栄へと繋がっています。原初の多細胞動物は、単細胞動物が集まることで生まれたとされており、多細胞生物の優位性を明らかにすることは、生物進化の謎を紐解くことに繋がります。

本文

今回、東北大学大学院工学研究科の生体流体力学分野 大森俊宏助教と石川拓司教授らのグループは、微生物の遊泳効率について解析を行い、細胞が集まり集団で運動することで運動性能が100倍も向上できる事を発見しました。

原初の多細胞動物は、単細胞動物が集まる「群体」を形成することで生まれたとされています。今回、群体を形成する細胞の数と運動エネルギーを解析したところ、ムカデのように等間隔で鞭毛注1を動かす泳法が最も省エネルギーであり、現存する微生物は広くこのような泳法を利用していることが分かりました。この結果は、生物が多細胞化することの優位性を示すもので、原初の単細胞生物が多細胞生物へと進化した歴史の謎を紐解く可能性のある研究成果となります。


図1 微生物の運動を解析することで、生物の進化の謎を紐解く
結論

本研究によって、微生物は細胞が集まることで省エネルギーにつながることを発見しました。この結果は、原初の単細胞生物が多細胞生物へと進化した謎の解明に貢献することが期待されます。

付記

本研究は、文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われました。

用語説明

注1 鞭毛

細胞表面に生えている毛のような器官。鞭毛によって微生物は移動できる。

論文情報

Title: Swimming microorganisms acquire optimal efficiency with multiple cilia
Authors: Toshihiro Omori, Hiroaki Ito, and Takuji Ishikawa
タイトル: 微生物は多数の繊毛を使って最も効率的な運動を達成する
著者名: 大森俊宏、伊藤宏晃、石川拓司
掲載誌: Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, in press
URL: https://www.pnas.org/content/early/2020/11/11/2011146117
DOI: 10.1073/pnas.2011146117

お問合せ先

東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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