門脇 万里子さん(知能デバイス材料学専攻 修了生)が、「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を受賞

2021/11/24

2021年3月に工学研究科博士後期課程を修了された門脇万里子さん(国立研究開発法人 物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 研究員)が、本研究科在籍中の研究成果を評価され、「ロレアルーユネスコ女性科学者 日本奨励賞」(物質科学分野)を受賞されました。授賞式は、2021年11月 4日(木)に駐日フランス大使公邸にて行われました。

「ロレアルーユネスコ女性科学者 日本奨励賞」は、若手女性科学者が、国内の教育・研究機関で研究活動を継続できるよう奨励することを目的として、2005年11月、日本ロレアル社が日本ユネスコ国内委員会との協力のもと創設されたものです。

【受賞内容】
■受賞者:
門脇 万里子(工学研究科博士後期課程修了生)
■研究タイトル:
炭素鋼のミクロ電気化学特性の解析と新規高耐食鋼の創製
■社会と研究の接点:
炭素鋼の金属組織と耐食性との関係性を解明し、高耐食化に貢献。地球上に豊富にある炭素や窒素を活用し、性能に優れた省資源・低コストの新鉄鋼材料の創出へ寄与。
■研究概要:
炭素鋼(Fe-C合金鉄と炭素の合金)は、自動車やインフラストラクチャーなどに使用される、現代社会を支える材料の一つですが、腐食しやすいことが課題です。炭素鋼はミクロな視点で見ると、組成や原子配列の異なる様々な金属組織から構成されています。本研究では、そのような金属組織や、さらにそれよりもミクロな個々の原子という視点から耐食現象の解析に取り組みました。
まず、炭素鋼の代表的な金属組織ごとの電気化学計測を行い、耐食性を比較しました。そして、鉄の結晶構造中に炭素原子が溶け込んでいるミクロ組織である「マルテンサイト」が耐食性に優れることを解明しました。次に、マルテンサイトが耐食性に優れる理由を第一原理計算(コンピュータ・シミュレーション)により解析しました。その結果、固溶している炭素は鉄の構造を変化させ、そのことが高耐食化の一因であることを解明しました。さらに 炭素だけでなく固溶窒素も耐食性向上に効果的であることを見出しました。従来は鉄鋼材料を高耐食化するため、多くの場合クロムなどの希少元素が利用されました。一方、本研究では炭素や窒素などのユビキタス元素(資源量が豊富な元素)を適切に利用することでも高耐食化がもたらされることが判明しました。省資源かつ低コストで新しい鉄鋼材料の創製への活用が期待されます。

受賞者全員集合写真。前列中央が門脇万里子さん。 (提供:日本ロレアル株式会社)


受賞式の様子。 (提供:日本ロレアル株式会社)
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