ナノメートル級の籠状構造により促進される超イオン伝導現象を発見 -次世代蓄電池の開発を加速-

2014/10/15

【研究成果のポイント】
  • ナトリウムイオンを含む錯体水素化物でのナノメートル級の籠(かご)状構造に注目
  • 籠状構造の適切な配置や高速回転などによりナトリウムイオンの伝導が大きく促進
  • この新たな現象により次世代蓄電池の開発を加速

東北大学金属材料研究所の松尾元彰講師と同大学原子分子材料科学高等研究機構の宇根本篤講師・折茂慎一教授の研究グループは、ナノメートル級の籠状構造(=B10H10イオン)をもつ安定な錯体水素化物において、B10H10イオンによりナトリウム超イオン伝導が促進される新たな現象を発見しました。同大学大学院工学研究科(知能デバイス材料学専攻 高村教授)、アメリカ国立標準技術研究所、メリーランド大学、サンディア国立研究所、およびロシア科学アカデミーとの共同研究による成果です。

研究グループでは、水素エネルギーの普及の観点から高密度水素貯蔵材料の開発を進めており、その候補材料のひとつとして、ナトリウム(Na)とホウ素(B)、水素(H)で構成される錯体 水素化物に関する研究をしています。その一環で、水素を放出した後に生じるナノメートル級の籠状B10H10イオンと、その周りのナトリウムイオンの動きを丹念に調べました。その結果、Na2B10H10では110℃以上でB10H10イオンの配置変化と高速回転が起こり、これらに促進されて ナトリウム超イオン伝導現象が発現することを発見しました。

今回の研究成果は、B10H10イオンなどの籠状構造を持つ新たな固体電解質の開発指針を提案し、これを実証した点で注目されており、次世代蓄電池として期待される全固体ナトリウムイオン二次電池の開発を加速させる重要な成果として、平成26年(2014年)10月13日(現地時間)に材料科学分野の有力誌 Advanced Materials のオンライン版に掲載されました。

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【お問い合わせ先】
(研究内容について)
東北大学金属材料研究所 講師 松尾元彰
TEL: 022-215-2094
東北大学AIMR/金属材料研究所 教授 折茂慎一
TEL: 022-215-2093
(報道担当)
東北大学金属材料研究所 総務課総務係 水戸圭介
TEL: 022-215-2181
東北大学AIMR 広報・アウトリーチオフィス 中道康文
TEL: 022-217-6146
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