抗付着性の生体センサー用高分子材料を開発
―高分子の設計が膜構造と「汚れにくさ」を左右―
2026/08/20
【工学研究科研究者情報】
大学院工学研究科応用化学専攻 客員准教授 山本 俊介(研究当時)
(現 京都大学大学院工学研究科 准教授)
(現 京都大学大学院工学研究科 准教授)
大学院工学研究科応用化学専攻 教授 三ツ石 方也
研究室ウェブページ
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概要
京都大学大学院工学研究科の山本俊介准教授(研究当時は東北大学大学院工学研究科客員准教授を兼務)、東北大学大学院工学研究科の高橋和奏修士課程学生(研究当時)、柏﨑亜樹助教、三ツ石方也教授らの研究グループは、生体センサー用有機電気化学トランジスタについて、高分子の設計、薄膜構造、電気的性能、タンパク質付着抑制機能の関係を明らかにしました。導電性高分子PEDOT:PSSに、正負両方の電荷を持つ双性イオン部位を持つ高分子を混合し、繰り返し単位の種類と並び方が異なる材料を比較しました。その結果、PEDOT:PSSの基本構造は保たれる一方、高分子の設計によって薄膜の構造が変化し、それが電荷輸送性と信号増幅性能を左右することを示しました。さらに、こうした薄膜の構造の違いが、タンパク質の付着量と付着後の動作安定性にも影響することを明らかにしました。本成果は、材料の分子設計から薄膜構造、電気的性質、抗付着性までを一貫して結び付け、安定性と高性能を両立する材料設計の指針を示すものです。
本成果は、2026年8月13日に国際学術誌「Advanced Electronic Materials」にオンライン掲載されました。

図1. 高分子の配列設計が薄膜の構造と素子特性の動作安定性に与える影響
繰り返し単位の種類と並び方が異なる3種類の双性イオン高分子をPEDOT:PSSに混合すると、構造解析からそれぞれ異なる膜構造が形成されることが示された。双性イオン単独重合体を混合した膜では、タンパク質への暴露後もOECTのしきい値電圧の変化が小さく、動作安定性が向上した。右下はOECT素子の測定の様子。(作成:山本俊介)