本研究科の卒業生である小川由希子さんが、ロレアル ユネスコ女性科学賞 日本奨励賞を受賞されました。

2017/07/12

平成29年3月に本研究科博士後期課程を修了された小川由希子さん(国立研究開発法人物質・材料研究機構 日本学術振興会特別研究員)が、本研究科在籍中の研究成果を評価され、ロレアルーユネスコ女性科学賞 日本奨励賞(物質科学分野)を受賞されました。

「ロレアルーユネスコ女性科学賞 日本奨励賞」は、日本の若手女性科学者が、国内の教育・研究機関で研究活動を継続できるよう奨励することを目的として、2005年11月、日本ロレアル社が日本ユネスコと国内委員会との協力のもと創設されました。

【受賞内容】
■研究タイトル:
構造変化を利用した新しい高機能マグネシウム合金の開発
■研究概要:
マグネシウム合金は実用合金の中で最軽量であることから、次世代構造材料として古くから期待されており、電子機器部品の筐体や、自動車部品などに応用されています。しかし、マグネシウム合金が持つ六方稠密構造に由来する加工性の悪さから、依然としてその用途は限られています。 受賞者は、マグネシウムにスカンジウムを加え、その結晶構造をサイコロのように等方的な体心立方構造にすることで加工性の向上を図ると共に、従来のマグネシウム合金では達成できない新しい組織制御によりマグネシウム合金の高機能化を目指しました。 その結果、加工性および強度の大幅改善に加え、変形させても形状が元に戻る形状記憶特性という、従来マグネシウム合金では考えられなかった機能性の付与に世界で初めて成功しました。
本形状記憶マグネシウム合金は、従来の形状記憶合金より70%程度軽く、人工衛星のフレームなど、打ち上げコスト削減のために軽さが求められる宇宙材料への応用が期待されます。更には、マグネシウムが持つ生体吸収性といった特徴を生かした医療材料への適用も可能になります。特に、血管の狭窄を押し広げるステント材料として形状記憶合金が注目されていますが、治療完了後には体内に吸収される新しいタイプの形状記憶マグネシウムステントといった応用範囲も広がります。
今後は実用化に向け、更なる強度の向上や形状記憶動作温度の上昇、また、生体適合性評価など新規な研究の展開が期待されています。

受賞者全員集合写真。中央が小川由希子さん。 (写真 : 日本ロレアル提供)


受賞式の様子。 (写真 : 日本ロレアル提供)
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