人工流れ星実証衛星「ALE-1」に搭載された膜展開式軌道離脱装置「DOM®」の軌道上での展開実証およびその動画撮影に成功
2020/02/18
株式会社ALEの人工流れ星実証衛星「ALE-1」(以下、ALE-1衛星)に搭載された、国立大学法人東北大学と株式会社中島田鉄工所が共同で研究開発を行った膜展開式軌道離脱装置DOM® : De-Orbit Mechanism(*1 / 以下、DOM®)が、2019年12月25日に宇宙空間での膜展開に成功したことが確認されました。東北大学の研究チームが衛星搭載カメラを使用して、膜展開の様子の撮影に成功しました。ALE-1衛星は、JAXA革新的衛星技術実証1号機を構成する他の6機の衛星とともにイプシロンロケット4号機によって2019年1月18日に打上げられ、高度約500㎞の軌道に投入されました。人工流れ星の放出運用高度は約400kmが計画されており、約100kmの軌道降下を実施する必要があります。ALE-1衛星は、そのための手段としてDOM®を搭載し、膜を展開して大気抵抗を増大させることによる、短期間での軌道降下を計画しています。公開軌道情報から、ALE-1衛星の膜展開後の軌道降下速度が明確に加速したことも確認されており、今後1年間程度(*2)で高度400kmに到達し、人工流れ星の放出運用を開始致します。
*2 期間は太陽活動の状況によって大きく変わる可能性があります。
【ALE-1衛星について】
ALE-1衛星は、株式会社ALEと東北大学が共同で開発した、世界初の人工流れ星ミッションに挑戦する超小型人工衛星です。ALE-1衛星は2019年1月18日に革新的衛星技術実証1号機を構成する他の6機の衛星とともにイプシロンロケット4号機で打上げられ、高度約500 kmの軌道に投入されました。ALE-1衛星は人工流れ星の放出運用を高度約400 km以下で実施する計画ですが、軌道投入高度がこれよりも高いため、早期に軌道降下させる手段としてDOM®が採用されました。
【DOM®について】
東北大学と中島田鉄工所が共同で開発した膜展開式軌道離脱装置「DOM®」は、超小型人工衛星を地球周回軌道から除去することを目的とする装置です。衛星に搭載されたDOM®の膜が軌道上で展開すると、地球近傍にわずかに存在する大気による抵抗が増加します。そのため、衛星の軌道降下が速められ、最終的には衛星は地球大気圏に再突入して消滅します。
近年世界中で超小型人工衛星の開発が盛んに行われており、今後地球周回軌道へ投入される超小型人工衛星の数は増加の一途をたどることが予測されています。一方で、運用を終了した衛星がスペースデブリ化することが問題になっています。そうした状況を受け、東北大学と中島田鉄工所は、運用を終了した衛星を速やかに軌道から除去する技術を共同で研究開発してきました。DOM®は小型軽量化と同時に衛星システムとの機械的・電気的インターフェースの簡易化を追求しており、将来的には国内外の超小型人工衛星に幅広く利用されることを期待しています。
- 本件に関する株式会社中島田鉄工所のプレスリリース
http://www.nakashimada.co.jp/news/press2020001.html - 本件に関する株式会社ALEのプレスリリース
https://star-ale.com/news/2020/02/10/000158.html