オンライン診療のさらなる活用に向けた実証を仙台市で開始

2023/02/15

【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科情報知能システム研究センター・特任教授・阿部 勇介
研究室ウェブサイト

一般社団法人仙台市医師会(会長:安藤 健二郎、以下仙台市医師会)、仙台市(市長:郡 和子)、国立大学法人東北大学大学院工学研究科(大学院工学研究科長:湯上 浩雄)と東日本電信電話株式会社 宮城事業部(執行役員宮城事業部長:滝澤 正宏、以下NTT東日本)は、オンライン診療のさらなる活用に向けた実証を開始しました。

1.背景・目的

医療のDX(デジタルトランスフォーメーション)に伴い、遠隔地のオンライン診療が実用化され、特に新型コロナウイルス感染者の非接触的診療に活用されています。オンライン診療にはさまざまな可能性がありますが、東北地方の医師不足が将来進むことを考慮し、オンライン診療の積極的な応用を早期に検討していくことが必要です。

そうした中で、医師の定期訪問が困難な地域に居住する患者宅に、医療機器を搭載した車両とともに訪問看護師が訪れ、姿や表情のみならず、聴診音や心電図、さらには超音波画像などを遠隔地の医師に正確に伝える技術があれば、一定の医療の質を保つことができると想定しています。(DtoPwithN型※1)

また、2020年度に仙台市医師会、仙台市薬剤師会と仙台市は共同でオンライン診療の実証実験(DtoP型※2)を実施し、次の3つの結果が得られました。

  • 初診や急性疾患への適用には課題はあるが、慢性疾患等には有効
  • 対面診療と比べて質的な差があることから、聴診音の情報など機器の開発・導入が必要
  • 通院の負担軽減、郊外地域での高齢者、高齢者施設、在宅医療での活用可能性

これらを踏まえ、本実証では、医療機器を搭載した車両を派遣し、環境が必ずしも良好でない地域から、各種の生体情報や画像がどの程度伝送可能かを技術的に評価し、改善に向けた検討を行います。

※1,※2 D:Doctor(医師)、P:Patient(患者)、N:Nurse(看護師)
DtoP型:情報通信機器を用いた医師対患者の診察
DtoPwithN型:情報通信機器を用いて医師対患者に加え、看護師が患者側で補助を行う診察

2.実証の概要

(1)実施期間: 2023年2月1日(水) ~2023年3月31日(金)
(2)実施場所: 仙台市内
(3)実施内容: 以下の通り

仙台市内の郊外地域へ医療機器が搭載されている診療カーを移動させ、看護師が診療補助するオンライン診療モデル(DtoPwithN型)について、慢性心臓疾患患者や慢性呼吸器疾患患者を疑似的に想定した上で実証実験を行うこととし、無線環境における医療機器の通信品質等技術的評価に加え、実際に医師に使用していただくことで操作性等を評価します。

3.実証参加団体と各団体の役割

一般社団法人仙台市医師会
  • 実証フィールド提供
  • 実証に協力いただく医療従事者の選定
  • オンライン診療における医療機器の操作性評価
仙台市
  • オンライン診療を活用した課題解決等の検討
  • 実証実験の円滑な実施に係る調整
国立大学法人東北大学大学院工学研究科
情報知能システム研究センター
  • 実証および実証成果・報告書における助言
国立大学法人山形大学
有機材料システムフロンティアセンター
  • 実証にて活用する機器の提供
  • 実証および実証成果・報告書における助言
NTTスマートコネクト株式会社
  • 車両(看護師)-医師間でリアルタイムかつ高精度な聴診が可能となるリモート聴診サービス「聴シンクロ」の提供
  • 実証の評価項目の検討
オムロン ヘルスケア株式会社
  • 心房細動の可能性を確認できる携帯型心電計HCG-8060Tを提供
    1誘導と6誘導の心電図を記録可能
    心電図は健康管理アプリ「OMRON connect」に保存可能
  • 実証の評価項目の検討
フクダ電子南東北販売株式会社
  • 電子血圧計、心電図検査装置の提供
  • 実証の評価項目の検討
株式会社ミューシグナル
  • リモート面会システム「面会さん」の提供
  • オンライン診療用聴診器の提供
  • 実証の評価項目の検討
大和電設工業株式会社
  • プロジェクトマネジメント
  • 実証にて使用する診療カーの提供
  • 実証環境の構築
  • 実証実験の実施
  • 実証成果とりまとめ
東日本電信電話株式会社 宮城事業部

4.今後の展望について

今回の技術検証によって医師の定期訪問が困難な地域におけるオンライン診療普及のための課題を抽出し、実装に向けたさらなる検討を各者と連携して推進してまいります。

また、各種機器操作を簡略化することで、患者側と医療側の双方にとって、より受け入れやすい簡便なオンライン診療システムの実現をめざします。


本実証で使用する診療カー

お問合せ先

< 研究に関して >
東北大学大学院工学研究科 情報知能システム研究センター 特任教授 阿部 勇介
TEL:022-795-4869
E-mail:yusuke.abe.d7@tohoku.ac.jp
< 報道に関して >
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
ニュース

ニュース

ページの先頭へ