道路標識など道路附属物の老朽化状況に関する全国住民アンケートを実施

- 約8割がメンテナンスに積極的に取り組むべきと回答、予防的修繕を望む住民意識が明らかに -

2025/04/03

【工学研究科研究者情報】
大学院工学研究科土木工学専攻 教授 久田 真
研究室ウェブサイト
  • 回答者の約3割が「自治体は道路附属物のメンテナンスを実施していると思わない」と回答。都道府県別では沖縄県が41.3%で最も高く、東京都が16.7%で最も低い
  • 回答者の約8割が「自治体は道路附属物のメンテナンスに積極的に取り組むべきだと感じる」と回答
  • 自治体に望むメンテナンスへの取り組み方針は「傷みが小さいうちに予防的な修繕を進め、できるだけ長持ちさせる」の回答が約4割で最多となり、既存の道路附属物の維持を望む住民意識が明らかに

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:森平英也、以下:古河電工)と国立大学法人東北大学大学院工学研究科 久田研究室(以下:久田研究室)は、道路標識や標示などの道路附属物の老朽化状況についての住民アンケートを、全都道府県7,050名を対象に実施しました。

調査の背景

道路標識や街路樹などの道路附属物は、日本全国で約1,000万本以上存在し、近年では老朽化にともなう落下事故も発生しています(別添の調査詳細資料に、「近年の道路附属物の事故一覧」を記載しております)。今後、労働人口がさらに減少することが予想されるなか、標識などの道路附属物においても効率的なメンテナンス方法の確立が求められています。

古河電工と久田研究室は標識などの道路附属物の効率的なメンテナンス方法を共同で研究していますが、住民通報からメンテナンスすべき道路附属物が明らかになることも多いため、このたび、全都道府県における住民の道路附属物の老朽化の認知状況等を調査するためにアンケートを実施しました。

調査概要

  • 調査方法:インターネットによる調査
  • 調査対象:全国20代~60代の男女(7,050名(各都道府県150名ずつ))
  • 調査実施期間:2024年12月5日~7日
  • 調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト

久田真教授(東北大学大学院工学研究科)による調査の総括

道路標識などの道路附属物も含めた道路インフラは、生活の要である一方で、適切な管理・メンテナンスを実施しないと重大事故の要因となります。トンネルや橋梁などの重要構造物については法定点検が定められていますが、道路附属物の点検について法律は制定されておらず、自治体などの道路管理者に一任されています。

調査の結果、各都道府県において、回答者の約5割が道路附属物の老朽化を認知している結果となり、各都道府県の道路附属物について、リスクがないとは言い切れないことが明らかとなりました。特に老朽化が進んでいると感じている住民が多いのは沖縄県や鹿児島県などのエリアでしたが、その理由や背景を明らかにするには、より詳細な調査・分析が必要だと考えます。

また、各都道府県における附属物のメンテナンス状況については、8割弱がメンテナンスを強化すべきと考えている一方で、約3割が道路附属物のメンテナンスがされていないと感じていることが明らかとなりました。背景には、今後は道路附属物を新設するのではなく、既存のものをメンテナンスしていくのが望ましいという住民意識があることも調査からわかっています。

道路に関する関心事においては、道路附属物への関心度は「交通マナーの悪さ」など個人に直接影響を与える要素と比較すると低いものの、ひとたび道路附属物の落下事故が起これば住民が怪我をするリスクも高く、社会として非常に大きな課題と認識しています。今後も久田研究室では、古河電工と共同でより効率的な管理・メンテナンス手法の研究に加え、調査などを通じ情報提供を実施してまいります。

お問合せ先

< 研究に関すること >
東北大学大学院工学研究科土木工学専攻 インフラ材料工学研究室 教授 久田 真
問い合わせフォーム:https://tohoku-concrete.tech/contact
< 報道に関すること >
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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