外光の映り込みを抑えた超低反射ディスプレイを開発

―印刷物のように見える高視認な次世代ディスプレイ―

2026/05/01

【工学研究科研究者情報】
大学院工学研究科技術社会システム専攻 教授 石鍋隆宏
研究室ウェブサイト

発表のポイント

  • 外光の映り込みを大幅に抑えた超低反射ディスプレイを開発しました。
  • 幅広い環境において高い視認性を維持し、長時間の使用でも目が疲れにくい表示を実現しました。
  • 表示画面が紙の印刷物のように見える、人に優しいヒューマンマシンインターフェースを提案しました。
  • 自動車用や医療用など、高い視認性と情報の正確な認識が求められるディスプレイへの応用が期待されます。

概要

自動車用ディスプレイや医療用ディスプレイなどの分野では、環境の明るさに左右されず、高い視認性を保つ情報表示技術が求められています。

東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻の石鍋隆宏教授らは、シャープディスプレイテクノロジー株式会社(本社:三重県亀山市)および日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市)との共同研究により、外光の映り込みを大幅に抑えた超低反射ディスプレイを開発しました。本ディスプレイでは、表面および内部での光反射を抑制するとともに、高いエネルギー効率での表示を実現しました。さらに、外光の映り込みが少ないため、表示が紙の印刷物のように見え、長時間の使用でも目が疲れにくいという特長があります。本技術は、高い視認性と情報の正確な認識が求められる自動車用や医療用ディスプレイをはじめ、次世代の情報システムにおけるヒューマンマシンインターフェースの基盤技術としての展開が期待されます。

本成果は、2026年5月6日(現地時間)に、Society for Information Display International Symposium DISPLAY WEEKにて招待講演として発表される予定です。

研究の背景

ディスプレイは、テレビやPC、スマートフォンに加え、近年では自動車、医療、デジタルサイネージなど幅広い分野で利用されています。これらの分野では屋外など明るい環境で使用される場面も多く、外光がディスプレイ表面で反射して映り込むことで、情報を正確に読み取ることが難しいという課題がありました。

この課題に対して、ディスプレイ表面に屈折率の異なる層を積層して反射を抑えるAnti-Reflection(AR)(注1)コーティングや、表面に微細な凹凸構造を設けて光を拡散させるAnti-Glare(AG)(注2)コーティングが実用化されています。しかし、これらの手法は光の入射角度による性能変化が大きく、十分な反射抑制を実現することが難しいという課題が残されていました。

今回の取り組み

研究グループは、外光の映り込みが生じない超低反射ディスプレイを開発しました。

具体的には、ディスプレイ表面に形成した超微細構造の精密な制御理論を提案するとともに、構成材料の屈折率を最適化することで、環境の明るさに左右されず光の反射を抑制することに成功しました。その結果、高い視認性を維持しながら、紙の印刷物のように見える表示を可能とし、長時間使用しても目の疲れが少ないという特長を実現しました。

今後の展開

本技術は、高い視認性と情報の正確な認識が求められる自動車用や医療用ディスプレイへの応用が期待されます。また、学校教育などでタブレット端末の利用が広がり、子どもたちの目への配慮が求められる中で、安心して使用できる情報機器への応用も期待されます。


図1. 開発したディスプレイの表示例
照度3,000ルクスの照明下(屋外に近い明るい環境)で撮影

用語説明

(注1)Anti-Reflection(AR)

ディスプレイの表面に屈折率が異なる多層膜をコーティングし、光の干渉現象を利用して外光の反射を軽減する技術

(注2)Anti-Glare(AG)

ディスプレイの表面に凹凸を設け、光を乱反射させることで外光の映り込みを軽減する技術

論文情報

タイトル:Ultra Low Specular Reflection LCD with High Visibility for Next Generation Automotive Applications
著者:Takahiro Ishinabe, Yuichi Kawahira, Akira Sakai, Kiyoshi Minoura, Satoshi Yoshinaga, Hajime Akimoto, Taketoshi Nakano
*責任著者:東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻 教授 石鍋隆宏
学会:Society for Information Display International Symposium DISPLAY WEEK
開催場所:米国 ロサンゼルスコンベンションセンター

お問合せ先

< 研究に関すること >
東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻 教授 石鍋 隆宏
TEL:022-795-7238
Email:takahiro.ishinabe.c4@tohoku.ac.jp
< 報道に関すること >
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
Email:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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