蚊がゴクゴクとゴックンを飲み分ける仕組みを発見

2018/03/22

【発表のポイント】
  • 2つのポンプを使って液体の餌を飲み込む生物は広く世界に存在していますが、ポンプが2つある必要性は不明でした。
  • 頭部大小2つのポンプを使って餌を吸い込む蚊は、2つのポンプを巧みに使い、2種類の飲み方を行っていることを発見しました。
  • この成果は、粘りの強い餌を捕食する生物の巧みな吸引方法を明らかにし、将来的には、マイクロスケールの流体駆動デバイスの設計などに役立つと期待されます。
【内容】

蚊が餌を飲み込む際に、吸血のように連続的に飲み込む時(連続モード:ゴクゴク)と、針内に詰まりがあったりや粘り気の強い花蜜を力強く飲み込む時(バーストモード:ゴックン)と、2つのポンプを巧みに使い分けていることを発見しました。

菊地謙次(東北大学大学院工学研究科 准教授)、Mark A. Stremler(米国バージニア工科大学 教授)、 Souvick Chatterjee(米国バージニア工科大学 ポスドク)、Wah-Keat Lee(米国ブルックヘブン国立研究所 主任研究員)、望月修(東洋大学 教授)、John J. Socha(米国バージニア工科大学 准教授)の研究グループは、シンクロトロン放射光を利用してX線位相コントラスト顕微鏡を構築し、蚊の頭部を透視することで、内部のポンプ運動の可視化に成功しました。そして、実験と理論解析により、ポンプの飲み込むモードによって吸い込み圧力を制御していることを明らかにしました。

こうした蚊は、普段交互に動かしているポンプを、吸引力を上げたいときに同時にポンプを動かして、のどの詰まりや粘り気のある餌を効率的に飲み込み過酷な生態環境を生き延びてきたと考えられます。この成果は、連結した微小のポンプによる巧みな吸引方法を明らかにし、将来的には、マイクロスケールの流体駆動デバイスの設計などに役立つと期待されます。

本成果は、2018年3月20日(英国時間10時)のScientific Reports(オンライン)に掲載されました。本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金の助成を受けて行われました。



図:頭部のポンプを大きく広げてゴックンと飲み込む瞬間を捉えた画像(黄色部が拡張されたポンプ)
論文情報
著者: Kenji Kikuchi, Mark A. Stremler, Souvick Chatterjee, Wah-Keat Lee, Osamu Mochizuki, John J. Socha
題目:Burst mode pumping: A new mechanism of drinking in mosquitoes
雑誌:Scientific Reports, (2018)
URL:https://www.nature.com/articles/s41598-018-22866-w
【お問合せ先】
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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