「多層プラスチックフィルムの液相ハイブリッドリサイクル技術の開発」がNEDOの先導研究委託事業として採択

- 産官学協働で多層プラスチックフィルムのリサイクル技術の開発と実用化を加速 -

2020/09/09

概要

東北大学工学研究科附属超臨界溶媒工学研究センターでは、超臨界や亜臨界状態の水がポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)など、汎用的に使用されるプラスチックを、原料単位まで戻せることを見出していました。この知見をもとに、実用的なリサイクルプロセスの構築を目指して連続的に処理するプロセスの開発にも取り組み、一部知財化するなど成果をあげてまいりました。今回、これまで明らかにした単一プラスチックの知見をもとに、複数プラスチックから成る多層フィルムに対し、ケミカル・マテリアルの両立を目指す、ハイブリット・リサイクルに取り組ませていただくことになりました。東北大発のSmart R技術として、社会課題の解決に貢献することを目指します。

※東北大学は2019年3月に東北大学「プラスチック・スマート」推進宣言を策定・公表し、全国の大学に先駆けて、国が進める「プラスチック・スマート」フォーラムに参画しております。これにより学内におけるワンウェイのプラスチック使用の削減を図ると共に、プラスチックの分別回収の徹底を進めてきました。また本推進宣言に基づき、社会が抱えるプラスチック問題解決に貢献するため、東北大学発のプラスチック・スマート研究の融合知の創出を目的として、超域学際融合拠点(TU-TRIPS:Tohoku University Transdisciplinary Research Initiative for Plastic Smart)を2019年10月に設置しております。拠点で取り組む「Smart U:賢く使う・減らす(Use)」、「Smart S:代替する(Substitute)」、「Smart R:適切な回収・資源化(Recovery and Recycle)」、「Smart A:知の還元・実行(Action)」の4領域のうち、本提案は東北大発のSmart R技術の一つとしてプラスチック問題解決にむけ貢献します。

詳細(共同研究機関一同からの発表内容)

国立大学法人東北大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、宇部興産株式会社、恵和興業株式会社、東西化学産業株式会社、東ソー株式会社、凸版印刷株式会社、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社は、共同で国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」における「廃プラスチックを効率的に化学品原料として活用するためのケミカルリサイクル技術の開発」委託事業の公募に対し、「多層プラスチックフィルムの液相ハイブリッドリサイクル技術の開発」を提案し、このほど採択されました。本事業の委託期間は2020年6月から2021年3月までです。

採択された技術は、包装・容器に多く使用されている多層プラスチックを高温高圧水中で処理することにより、特定のプラスチック成分のみを原料にまで分解して、得られた原料と単離されたプラスチックの双方を再利用するものです。本技術は、食品等で汚染されたプラスチックごみをそのまま処理できる可能性を有しており、一般ごみのリサイクル率向上に寄与することが期待されます。

今回の事業採択を受け、産官学で連携してプラスチックの分解条件の探索と連続処理プロセスの開発を進めることでプロセスの高効率化を図るとともに、社会実装を見据え、対象となる廃棄物の調査と処理プロセス適用時のLCA(ライフサイクルアセスメント)評価を行って参ります。

お問合せ先

東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
ニュース

ニュース

ページの先頭へ