NASAとの火星ヘリコプターブレードの共同研究を開始

- 東北大学開発の火星大気風洞による風洞試験評価 -

2022/06/14

【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科航空宇宙工学専攻 准教授 野々村 拓
 研究室ウェブページ

発表のポイント

  • 東北大学大学院工学研究科と同流体科学研究所がNASA エイムズリサーチセンター(カリフォルニア州シリコンバレー)と共同研究を開始。
  • NASA エイムズが開発する火星ヘリコプターのブレードの空力特性の評価を東北大学が開発した火星大気風洞により行う。

概要

昨年、米航空宇宙局(NASA)の「火星ヘリコプター インジェニュイティ(Mars Helicopter Ingenuity)」が飛行に成功し大きな成果があったとの報道があり、火星探査技術向上への期待が大きな話題となりました。東北大学大学院工学研究科と同流体科学研究所は、火星ヘリコプターの開発を行うNASA エイムズリサーチセンターの“Rotorcraft Optimization for the Advancement of Mars eXploration” (ROAMX)プロジェクトと共同研究を開始しました。NASA エイムズリサーチセンターが開発する火星ヘリコプターのブレードの空力特性の評価を東北大学が開発した火星環境を模擬した風洞設備である火星大気風洞を用いて行います。ここでの評価が次期の火星ヘリコプターのブレードの設計・開発につながることが期待されます。


図1. ヘリコプターブレードの風洞模型

詳細な説明

東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻の野々村拓准教授と同流体科学研究所の大林茂教授の研究グループはNASA エイムズリサーチセンター(以下NASAエイムズ)の“Rotorcraft Optimization for the Advancement of Mars eXploration” (ROAMX)と共同研究を開始しました。ROAMXは、NASAエイムズとNASAジェット推進研究所の共同プロジェクトで次世代火星ヘリコプターのブレードを開発するプロジェクトです。ROAMXプロジェクトは火星大気でのヘリコプターブレードの最適化を行っていますが、そのブレードの空力性能の評価を東北大学が開発した火星大気風洞を用いて行います。

ヘリコプターブレードは翼と呼ばれる形状をしており、高速に移動する際に上向きの揚力と移動方向とは反対方向にかかる抗力が発生します。これらの評価を行うには、風洞を用いた実験やシミュレーションを実施する必要があります。火星大気密度は地上の1/100程度であることから、通常の風洞試験ではその環境を評価できないこと、シミュレーションにおいても検証が必要なことから火星環境を模擬した風洞試験が求められてきました。東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻の野々村拓准教授と同流体科学研究所の大林茂教授の研究グループは、これまでに火星環境を模擬した風洞試験を実施できる世界で唯一の火星大気風洞を開発してきており、本設備によるブレードの空力性能の評価を行うために、ROAMXプロジェクトと共同研究を開始しました。ここでの評価が次期の火星ヘリコプターのブレードの設計・開発につながることが期待されます。本共同研究は2021年11月4日に締結されており、当初2年間実施される予定で、複数回の打ち合わせを経て現在風洞模型作成など共同研究を本格的に開始しました。また本共同研究で得られた結果はNASAと共同で学術論文誌等にて発表する予定です。


図2. 火星大気風洞外観

図3. 火星風洞本体(内部)

お問合せ先

< 研究に関して >
東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 准教授 野々村 拓
TEL:022-795-7897
E-mail:nonomura@tohoku.ac.jp
< 報道に関して >
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
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