女性のQOL向上へ ー 肌のこすれ(摩擦)を低減する生理用ナプキンの開発に貢献

- 東北大学大学院工学研究科 山口研究室 / 西研究室 -

2025/03/12

【工学研究科研究者情報】
〇大学院工学研究科ファインメカニクス専攻
教授 山口 健
准教授 西 駿明
研究室ウェブページ

生理に伴う負担や困難は個人だけが抱えるものではなく、社会全体で向き合うべき課題です。この認識が広まりつつある今、生理用品の進化は、女性の健康や社会参加を支える重要な役割を果たします。

大学院工学研究科の山口健教授および西駿明准教授らの研究グループは、摩擦制御と人間の運動解析を通して、ライフサポートや医療、スポーツの分野での課題解決と価値創出のための研究に取り組んでいます。こうした研究成果を社会に役立てるべく、大王製紙株式会社との共同研究を通じて、吸収体の内部が動くことで肌のこすれを軽減できる「スライドフィット吸収体」を搭載した生理用ナプキンの開発に貢献しました。研究グループは、肌を模擬した人工皮膚片とナプキンが接触する際の摩擦係数と人工皮膚片のひずみを同時計測する技術を用いて、スライドフィット吸収体の摩擦と肌のひずみ低減効果を定量的に評価しました。その結果、「スライドフィット吸収体」を搭載した生理用ナプキンは、人工皮膚との摩擦係数を低減し、それに伴い肌への負担も軽減できることが明らかになりました。

さらに、本技術は使用者の体の動きに応じて吸収体がスライドすることでフィット性が向上することも確認されました。これにより、生理期間中の肌のこすれを軽減するだけでなく、肌とナプキンに隙間が発生しづらくなることで、モレにも安心して使えるナプキンを提供することが可能となります。

本研究の成果は、月経期間中のQOL(生活の質)を高め、女性があらゆる場面で自分らしく活動できる社会の実現を後押しするものです。本技術の実用化は、SDGs(持続可能な開発目標)の「目標3:すべての人に健康と福祉を」および「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」の達成に貢献し、よりインクルーシブな社会の構築につながると期待されます。

研究に関する参考情報

  • 白鳥貴之,伊東莉菜,倉持美帆子,山口健,生理用品における肌への摩擦刺激低減に関する研究,設計工学,58, 8 (2023)358-361.
  • 松井健汰,西駿明,伊東莉菜,倉持美帆子,藤田雅也,山口健,肌への摩擦刺激低減を意図した生理用品内部への低摩擦界面導入,日本設計工学会2024年度秋季大会研究発表講演会,2024年9月22日,北見.
など

関連ニュース

パリ2024オリンピック陸上競技日本代表オフィシャルスポーツウェアの開発に協力
- 東北大学大学院工学研究科 山口・西研究室 -
https://www.eng.tohoku.ac.jp/news/detail-,-id,2940.html

お問合せ先

< 研究に関すること >
東北大学 大学院工学研究科 ファインメカニクス専攻 教授 山口 健
TEL:022-795-6897
E-mail:takeshi.yamaguchi.c8@tohoku.ac.jp
< 報道に関すること >
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp
Xに投稿
ニュース

ニュース

ページの先頭へ