東北大学工学研究科・工学部
過去ニュース一覧

NEWS

2006/12/22

知能デバイス材料学専攻の小山裕教授等のグループは有機分子の構造欠陥検出に成功しました。

工学研究科知能デバイス材料学専攻の小山裕教授と田邉匡生助手は(財)半導体研究振興会との共同研究において、周波数純度を向上させたテラヘルツ波信号発生装置を用いて、有機分子中における構造欠陥を検出することに成功しました。この結果は、日本学士院紀要欧文誌であるThe Proceedings of the Japan Academy, Series B(12月8日発行)に掲載されました。

テラヘルツ波とは「光波」と「電波」の中間領域に位置し、周波数が10の12乗ヘルツ(THz)付近にある電磁波です。テラヘルツ波を発生させることは困難であったため、テラヘルツ領域における研究は極めて制約されていました。そのため、テラヘルツ帯は「人類未踏の周波数領域」と言われています。

今回の研究では、糖類のひとつであるグルコース(ブドウ糖)にガンマ線を照射させることにより構造欠陥を生じさせると、テラヘルツ波と共鳴吸収する周波数が変化することを見いだしました。また、アミノ酸のひとつであるアスパラギンの結晶化過程を制御することにより構造欠陥を導入した場合にも同様の結果を確認しております。これらの測定にあたり、同グループは従来と比べて周波数分解能を約60倍に向上させたテラヘルツ波信号発生装置・分光吸収測定装置を開発、それを用いることにより有機分子の構造欠陥検出を実現しました。

有機分子の構造欠陥を検出する一般的な方法はなく、この技術を用いることにより、例えば、薬剤の製造工程を監視することによる薬害防止や、製造における精製工程の違いに基づく麻薬の生産工場および流通ルートの解明が可能となります。さらに、DNAの欠損により発症すると考えられている癌などの早期発見が期待されます。


【問い合わせ先】
東北大学工学研究科 情報広報室
TEL:022-795-5898
FAX:022-795-5898

【お問合せ】

東北大学工学研究科・工学部情報広報室
TEL/ FAX:022-795-5898
E-mail:eng-pr@eng.tohoku.ac.jp

このページの先頭へ