東北大学工学研究科・工学部
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2007/01/04

金属フロンティア工学専攻の佐々木助教授らの研究グループが、液体半導体を用い600℃以上の高温において安定なPN接合を実現。

金属フロンティア工学専攻の佐々木助教授は北大との共同研究において、世界で初めて2液相分離液体半導体によるPN接合の実現に成功しました。この結果はApplied Physics Letters(12月4日発行)に掲載されました。
現在半導体の作動温度は200℃以下程度に限定されていますが、熱電変換やパワーデバイスの領域では高温で安定して作動する高温半導体の開発が強く求められています。半導体をデバイスとして工業的に応用するためにはP型半導体とN型半導体を接合させたPN接合界面を作り出す必要があります。しかし高温ではドーパントの界面近傍での拡散速度が大きくなるためPN接合界面が劣化してしまう根本的な問題があり、高温での実用に耐える高温半導体はまだありません。

今回の研究は、液体でP型半導体であるアンチモン(Sb)とN型である硫化アンチモン(Sb2S3)が、水と油に見られる混ざり合わない「2液相分離状態」になることを利用し、630℃の高温において液体のSb2S3とSbを上下2相に保持してPN接合を実現しました。さらにこの2液相間を通しての電圧-電流特性を測定し、界面において整流作用が生じていることを確認しました。

本研究の2液相分離によるPN接合は従来の手法とは全く異なる手法であり、適切な2液相分離を生じる液体半導体系を用いれば1000℃以上でもPN接合実現が可能となります。そのため今後、液体半導体の利用により、高効率の熱電変換デバイスや大電流に対応するパワーデバイスの開発につながっていく事が期待されます。

問い合わせ先:
東北大学工学研究科金属フロンティア工学専攻 佐々木
Tel.: 022-795-7307, FAX: 022-795-7307


【お問合せ】

東北大学工学研究科・工学部情報広報室
TEL/ FAX:022-795-5898
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