東北大学工学研究科・工学部
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2007/03/15

量子エネルギー工学専攻の石井慶造教授のグループは世界で初めて1mm以下の高空間分解能を持つ実用型動物用半導体PETの開発に成功しました。


東北大学大学院工学研究科量子エネルギー工学専攻石井慶造教授のグループは、世界で初めて1mm以下の高空間分解能を持つ実用型動物用半導体PETの開発に成功した。これにより、マウスのような小動物を用いた動物実験が可能となり、生命科学の発展および新薬の開発が促進されることが期待される。また、本成果により1mmの大きさの癌の検出を可能とするPET開発が大きく前進した。本研究は科学研究費補助金特別推進研究の援助の下で行われたもので、この研究成果は、大阪で開かれる医学会総会の4日目(4月8日)に特別講演として発表される予定である。尚、本研究成果の詳細は、Elsevier社のNuclear Instruments and Methods in Physics Research, A に発表される予定である。

PETは、陽電子放出核種を薬剤に標識して、人体に投与し、その薬剤の人体での代謝を陽電子が消滅したガンマ線を測定することにより、代謝画像を得るものである。ブドウ糖に短寿命放射性同位元素フッ素18を標識すると、癌細胞が他の正常細胞より活発にエネルギー代謝を行うことを利用して、体内の癌を可視化することができる。ガンマ線検出器としては、これまでシンチレーターが用いられ、世界中で高分解能化の競争が行われてきたが、1mm以下の空間分解能を得ることができなかった。一方、ワイヤーチャンバーを用いた特殊な方法で1mm以下の空間分解能が成し遂げられたが、実用的でないため製品化されていない。

今回の成功は、テルル化カドミウム(CdTe)半導体を用いて、1.0mm×1.1mmの検出面で奥行き5mmのガンマ線検出器を開発し、5120個の検出器をリング状に2段重ねで並べ、さらに検出器一個々にIC増幅器1個を繋ぐ、オール半導体システムにしたことによる。これにより、1mm以下(中心付近で約0.8mm)の分解能を得ることに成功した。この高空間分解能PETのFOVは断面方向64mm、体軸方向26mmで、ラット、マウスを用いたPET研究を行うことができる。

図は、今回開発された半導体PETの概観とこれを用いて測定したラットとマウスの脳のFDG画像である。ラットおよびマウスにおいて、大脳皮質、白質、線条体がハッキリと確認できる。

尚、本装置の改良型が住友重機械工業株式会社により、製品として販売される予定である。

超高分解能半導体動物用PET
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マウスの脳のFDG画像撮影
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ラット及びマウスのFDG画像
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【本件に関するお問い合わせ】
東北大学大学院工学研究科 量子エネルギー工学専攻
石井 慶造 教授
TEL: 022-795-7931
FAX: 022-795-7931
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
馬場、河内
TEL: 022-795-5898
FAX: 022-795-5898

【お問合せ】

東北大学工学研究科・工学部情報広報室
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