東北大学工学研究科・工学部
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2009/01/09

新しいシステム集積化技術に関する記者会見のご案内

 工学研究科バイオロボティクス専攻の小柳光正教授が、集積回路と、センサー、MEMS、バイオチップなどの異種デバイスを一括搭載する画期的なシステム集積化技術(ヘテロ・インテグレーション技術)を、世界に先駆けて開発しました。この成果は、昨年12月に米国サンフランシスコで開催されたLSI研究の殿堂とも言えるIEEE (米国電気電子学会) 主催の国際電子デバイス会議(IEDM)にて発表して大きな注目を浴びました。

 小柳教授は、これまで、世界に先駆けて、シリコン貫通配線 (TSV: Through Si Via) を用いた3次元LSIや3次元SiP (System-in-Package) 技術を開発して、3次元技術のパイオニアと言われています。東北大学の3次元技術には、自己組織化技術 (セルフアセンブリー:Self-Assembly) という東北大学独自の技術が使われています。今回は、この技術を3次元LSIや3次元SiP の作製だけでなく、マルチチップモジュールやプリント基板の作製にも広く適用して、マルチチップモジュールやチップが搭載されたプリント基板を短い製造時間で大量に作製するための技術を確立することに成功しました。集積回路が、ウェーハ上で数百個から数千個のチップを同時に作製することによって、大幅な製造時間の短縮とコスト低減に成功したのと同じように、マルチチップモジュールやプリント基板も、大型基板上で数百個から数千個、同時に作製することができれば、大幅な製造時間の短縮とコスト低減が可能となります。また、このようなマルチチップモジュールやプリント基板を作製する際に、集積回路チップと、センサー、MEMS、バイオチップなどの異種デバイスチップも一括搭載することができれば、これまでにはないような小型で高密度、高機能の新しい電子システムを実現でき、新しい産業の創製にもつながります。しかし、これまで、マルチチップモジュールやプリント基板を、大型基板上で数百個から数千個、一括作製するということは全く考えられておらず、そのための基盤となる技術もありませんでした。

 小柳教授は、液体の表面張力を利用して、集積回路チップと、センサー、MEMS、バイオチップなどの異種デバイスチップを数百〜数万個、同時一括で、大型基板上に位置合わせして張り合わせる技術の開発に成功しました。数百〜数万個のチップを同時一括で張り合わせる時間は0.5秒以下、張り合わせ精度(張り合わせの位置ずれ)は0.4μm以下です。電極や配線が形成されたチップと基板を張り合わせて、チップ側の電極や配線と基板側の電極、配線が自己組織的に接合し、電気的な導通が取れることも確認しています。今回は、このようにして張り合わせたチップ間を乗り越えて自由に配線するための乗り越え配線技術も確立しています。これらの技術を用いると、マルチチップモジュールやプリント基板を、LSIと同じように、短い製造時間で低コストで作製できるようになりますので、半導体の後工程に革命的な変化をもたらします。

 集積回路は、高度の微細加工技術を駆使して高集積化と、高性能化、大容量化が進められてきましたが、最近になってそれに伴う製造コストの増大や消費電力の急増に悩まされております。これらの問題を解決する手段として3次元LSI、3次元SiP が注目されています。東北大学は、20年前からこのような状況を見越して3次元技術の開発に取り組み、世界に先駆けて技術の確立に成功しましたが、今回、その技術をマルチチップモジュールやプリント基板の作製にまで適用することによって、3次元LSI、3次元SiP から、マルチチップモジュールやプリント基板まで通して一括作製するための基盤技術を確立することができました。これらの技術は、前工程、後工程を含めて、集積回路の製造技術を大きく変えるものであります。これらは日本発の技術であるということもあり、新しい市場の確立という点でも今後とも世界をリードして行きたいと考えています。

 なお、今回の成果は、IEEE国際電子デバイス会議(IEDM)での発表前に、IEEE国際電子デバイス会議(IEDM)から事前にアナウンスされるほど注目されており、注目論文として、LSI設計に関する世界最大の国際会議であるIEEE国際固体回路会議(ISSCC)のイブニング・セションでの招待講演も要請されています。

 本技術の詳細については、2009年1月14日(水)に東京にて記者発表を開催しご説明させていただきます。ご多忙とは存じますが、万障繰り合わせの上、ご来場を賜りますようお願い申し上げます。

 尚、本記者発表に出席される場合は、添付ファイルの出席確認票をFAXにて、2009年1月13日(火)までに東北大学工学研究科情報広報室まで送信願います。


日 時:2009年1月14日(水)午後1:30 〜4:00 (受付開始 午後1時)

場 所:東京都千代田区丸の内1丁目7番12号 サピアタワー
    (受付)サピアタワー3F
        ※ビル受付の隣に記者発表の受付を設けてありますので、こちらで入館証を受け取ってから、記者発表会場(10F)にお進みください。
    (記者発表会場)サピアタワー10F 東北大学東京分室内会議室
    
電 話:03-3218-9612 (東北大学東京分室)

東京会場地図

■JR東京駅直結



■東京メトロ大手町駅
B7出入り口直結
(東西線、千代田線、半蔵門線)
http://www.jebl.co.jp/outline/sapiatower/index.html#access

【記者発表に関するお問合せ先】
 工学研究科・情報広報室 馬場
  電 話:022-795-5898
  E-mail:eng-pr@eng.tohoku.ac.jp

【会見内容に関するお問い合わせ】
 工学研究科 バイオロボティクス専攻 担当者 小柳 光正
  電 話:022-795-6906

【お問合せ】

東北大学工学研究科・工学部情報広報室
TEL/ FAX:022-795-5898
E-mail:eng-pr@eng.tohoku.ac.jp

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