東北大学工学研究科・工学部
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2009/04/24

〜生命の新しい可能性〜 ダンスする藻類を発見

バイオロボティクス専攻 石川拓司准教授は、ケンブリッジ大学(University of Cambridge, Department of Applied Mathematics and Theoretical Physics)のR. E. Goldstein教授の研究グループと共同で、淡水に生息する遊泳微生物で藻類のボルボックスが、ワルツやメヌエットなどのダンスを踊る可愛らしい姿を発見しました。このダンスは、ボルボックスが作り出す水の流れで保持されていることが分かりました。この研究成果は、4月24日発行のPhysical Review Letters 誌に掲載されました。


ボルボックスは淡水に生息する多細胞の藻類で、およそ1000個の細胞が直径500μm程度の球表面に並んでいます。個々の細胞には鞭毛と呼ばれる2本の毛が生えており、それらが鞭のようにしなって波打つことで、ボルボックス表面に進行波が生じます。これによって周囲に水の流れが生じ、ボルボックスは少し旋回運動をしながらゆっくりと遊泳します。

研究グループは、ボルボックスが界面近傍で2種類の安定な運動をすることを発見しました。1つは「ワルツ運動」で、2つのボルボックスが自転しながら互いの周りを公転する運動です。
この運動の動画は、ケンブリッジ大学のプレスリリースのページ:
http://www.admin.cam.ac.uk/news/dp/2009042101
にて閲覧可能です。

2つ目の運動は「メヌエット運動」で、まるで2体のボルボックスがゴムでつながっているかのように、近づいては離れ、離れては近づきながらダンスします。

研究グループは数学モデルを構築し、界面近傍のボルボックスが周囲の水の流れによって引き付け合い、安定した運動をすることを証明しました。また、ボルボックス周りの流れを可視化することで、この理論の妥当性を証明しました。

こうしたボルボックスの運動は、生殖期においてボルボックス同士が水面で出会う確率を増加させることに役立つと考えられます。ボルボックスのダンスは、単に可愛らしいだけでなく、小さな生物でも幾つかのシンプルな要素を持ち合わせていることで、このような特筆すべき現象を引き起こすことができるという、生命の可能性を示唆しています。

研究グループは、東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻 石川拓司准教授と、ケンブリッジ大学(University of Cambridge, Department of Applied Mathematics and Theoretical Physics)のR. E. Goldstein教授、博士後期課程学生のKnut Drescher氏、博士研究者のIdan Tuval氏、Kyriacos C. Leptos氏、T. J. Pedley教授からなります。

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