東北大学工学研究科・工学部
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2010/05/08

災害制御研究センターの越村俊一 准教授と今村文彦 教授が平成21年度土木学会論文賞を受賞しました

【受賞論文】
S. Koshimura, T. Oie, H. Yanagisawa and F. Imamura,
Developing fragility functions for tsunami damage estimation using numerical model and post-tsunami data from Banda Aceh, Indonesia
Coastal Engineering Journal, Vol.51, No.3, pp.243-273, 2009 (2009年9月)

インドネシア・バンダアチェの被害データと数値解析に基づく津波被害関数の構築

【受賞者(以下3名)】
越村 俊一 (東北大学大学院工学研究科・災害制御研究センター)
柳澤 英明 (東電設計株式会社)
今村 文彦 (東北大学大学院工学研究科・災害制御研究センター)


本論文は,2004年インド洋大津波によって壊滅的な被害を受けたスマトラ島・バンダアチェにおける津波氾濫状況の数値計算による再現と,高分解能衛星画像の判読による家屋被害の把握,そして両者を融合して津波被害関数(Fragility Function)を構築し,津波氾濫の流況と家屋被害および人的被害の関係を明らかにしたものである.津波被害関数とは,津波による建物および人的被害の程度を被害率(または死亡率)として確率的に表現し,津波氾濫流の流体力学的な諸量(浸水深,流速,流圧力)の関数として記述するものである.
 従来の津波被害の予測式は,たとえば「浸水深2m以上で木造家屋は全壊,1m以上2m未満で半壊」といった大局的な評価にとどまっていた.本研究はこの問題を抜本的に解決し,将来の津波被害の予測精度を飛躍的に向上させる可能性が高い.不確実性の極めて高い津波被害の発生機構に対して,被害率という新しい尺度を導入し,津波の流体力学的諸量との関連で定量的な被害予測を可能にした本研究の成果は世界初のものである.我が国や津波被災国における津波対策の発展に寄与するだけでなく,国際的に見ても学術的価値が極めて高いといえる.家屋の構造や住民の津波に対する意識といった地域性を,津波被害関数の普遍性の向上に向けてどのように考慮するかといった課題はあるが,発展性の高い研究であることから,論文賞にふさわしいと認められた.

【問い合わせ先】
東北大学大学院工学研究科 災害制御研究センター
津波工学研究室(電話 022-795-7516)
准教授 越村俊一(koshimura◎tsunami2.civil.tohoku.ac.jp)(◎を@に置き換えてください)
ホームページ: http://www.tsunami.civil.tohoku.ac.jp/

【お問合せ】

東北大学工学研究科・工学部情報広報室
TEL/ FAX:022-795-5898
E-mail:eng-pr@eng.tohoku.ac.jp

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