東北大学工学研究科・工学部
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2013/03/12

新規な高品質バイオディーゼル連続製造装置 (化学工学専攻 北川准教授)

化学工学専攻の北川准教授らの研究グループは、どんな原料からも高品質なバイオ燃料(バイオディーゼル)を連続製造できる画期的な装置を完成させました。技術のポイントは、固体触媒として汎用のイオン交換樹脂を用い、その反応触媒能と物質吸着能を同時に発現させることで、すべての油成分をバイオディーゼルに変換、かつ、不純物の除去を達成した点です。その結果、反応器に原料を通すだけの簡便な操作で高品質燃料の連続的な製造を実現し、さらに、運転用ソフトウェアも併せて開発することで全自動運転を可能としました。


現在のバイオ燃料製造では、触媒として溶液のアルカリを用いているため、以下の2つの問題があり、普及の大きな障害となっています。

1)燃料と同時に石鹸が副生するため、燃料収率が低く、高品質品を得るのが難しい。
2)石鹸の副生量を抑えるため、未利用の食用油、あるいは、使用頻度の低い廃食用油を原料とせざるをえず、原料が食と競合、あるいは、不足している。

これに対し、本技術では、(1)石鹸の副生がなく、不純物(水やグリセリン、色素など)も同時に製品から除去されるため、高品質品を容易に得ることができる、(2)石鹸生成の原因となる油成分(脂肪酸)をもバイオディーゼルに変換できるため、これまで利用できなかった脂肪酸を多く含む(酸価の高い)油、さらには、食用油製造工程で多量に排出し焼却処理されている脂肪酸100%の油(菜種油や大豆油では食用油生産量の約6%、パーム油や米糠油では生産量の約20%)などの利用が可能となり、食との競合や原料不足が緩和されます。

2010年のバイオディーゼル製造量は、世界では約1,800万t、日本ではその0.05%の約0.8万tです。国外では未利用の食用油を原料とするのに対し、日本では使用頻度の低い廃食用油のみを原料としています。本製造装置によって、国内の食用油製造工程で排出する脂肪酸油約25万t(2011年食用油生産量256万tの10%と仮定)が新たな原料として利用でき、それだけでも燃料製造量を約30倍まで増大できます。さらに、世界では同様の脂肪酸油が約1,580万t(2011年度の食用油生産量15,800万トン)あり、これも利用可能となります。当然、使用頻度の高い廃食用油も原料利用可能となるため、回収さえできれば燃料製造量をさらに増大できます。最近注目されている藻類で製造された油も、バイオディーゼルに変換するには本技術が必要となります。

【お問合せ】
東北大学工学研究科・工学部情報広報室
TEL/ FAX:022-795-5898
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