
東日本大震災での
経験から、
仙台市の技術職に興味。
「拠点都市としての利便性の高さとともに、まちの中心部でも自然が多く溶け込んでいる、その過ごしやすさが好き」と話すのは、東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻を修了後、仙台市職員となった大塩美里さんだ。大塩さんが所属するのは、都市整備局計画部都市計画課。仙台市を安心・安全で快適に生活できるよりよい都市にするため、計画を立案し、他部署等との調整を図っていく部署だ。「私たちの仕事は、仙台市の未来の地図を形作っていくものです。しかも、そこで描いた形は長い年月にわたり痕跡として残っていく。市民の財産や人の流れを変えてしまうこともある、とても責任の重い仕事です。市民の立場でのよりよい都市の実現には、行政の立場でさまざまな視点から影響を考察し最善をつくす必要がある。公民連携のもと、民間ならではの発想やパワーも生かしながら、いろいろな立場の人がみんな笑顔で輝いている、そんなまちにできたらと思います」。
大塩さんが行政職という道を選んだきっかけは、大学3年次の春休みに経験した東日本大震災にあるという。配属が決まっていた建築構造系の研究室から招集がかかり、大塩さんたち学生も被害データの収集や建物の被災度区分判定の作業に携わった。「被災度区分判定では、1日に学校3、4棟を調べました。短期間で4kgほど体重が減ってしまうほどハードな作業でしたが、その時、仙台市の職員と大学の研究者が被災状況について話し合う姿を見て、仙台市役所に興味を持つようになりました。仙台市の技術職として入庁したのは、大好きなまち仙台を創り、守っていくことがきっとできると考えたからです」。