
デザイン思考を武器に、
東北大学に
イノベーションを起こす。
2021年10月、工学部生3名を含む4名の学生がアメリカ・スタンフォード大学からスタンフォード大学・ユニバーシティ・イノベーションフェロー(UIF)の称号を授与された。UIFは、スタンフォード大学デザイン学部(d.school)が提供するプログラムで、学生がそれぞれの大学でどんなイノベーションを起こすことができるのか、学びながら考え、そして実行に移していくというもの。その核心にあるのが、問題解決のためのプロセス=デザイン思考だ。
「デザイン思考は、自分が最も得意とするコミュニケーションの部分をフルに活かすことができる」。そう話すのは、UIFプログラムを修了しフェローの称号を得た一人、工学部化学・バイオ工学科3年の青山敦さんだ。「デザイン思考には、共感(Empathy)、問題定義(Define)、創造(Ideate)、プロトタイプ(Prototype)、テスト(Test)の5つのプロセスがあります。このプロセスでは、ブレインストーミング(問題点の抽出やアイデア出しのため、複数が集まり自由に意見を述べ合う集団発想法。通称:ブレスト)がツールとして随所に入ってきます。ブレストを円滑に、そして充実したものとするため、話をどう持っていくか、どうすればアイデアをうまく引き出せるか、そのための工夫がとても楽しいです」。
多種多様なアイデアを得るため、他者のアイデアを批判・評価しないという原則がブレストにはある。しかし、これが案外難しいと青山さんは言う。「日本人は批判的思考が好きです。海外の場合、批判的思考には反対も賛成も含みますが、日本では反対ベースの批判になってしまいがち。どうすれば賛成ベースでディスカッションを進められるのか、どうすればブレストが盛り上がるのか、デザイン思考について学んだことで、そのプロセスを意識するようになりました。今は、質より量でアイデアを出していこうとずっと言い続けています」。