答えがわからない、これこそが “研究”。
国際コンテストに挑み続ける「Team Sendai」
BIOMOD(国際生体分子デザインコンテスト)
第4回大会出場チーム
Team Sendai
世界中の若き知性と競い合う
東北大学有志チーム「Team Sendai」
2014年11月1日、アメリカ合衆国マサチューセッツ州。最高峰の大学と称されるハーバード大学オールストンキャンパスに、世界中から工学の若き知性が集結した。舞台の名は「BIOMOD」。学部生を構成員としたチームが「分子」の設計・作製の完成度を競う「国際生体分子デザインコンペティション」だ。新しい学術分野である分子ロボティクス。その研究者を早期段階から育成し、将来に向けてこの分野の裾野を広げることを目的としている。「BIOMOD」で評価されるのは、技術力や発想力だけではない。コンテスト当日に行う12分間のプレゼンテーション、成果の概要をまとめた3分間のYouTubeビデオ制作、実施したプロジェクトの目的からデータ、実験結果の詳細を記述したWebページなどにより、総合的に採点される。また、これらを構成する言語はすべて英語。第一言語が英語ではない国のチームは、まず言葉という大きな壁にぶつかることになるのだ。そして2014年大会。いくつもの部門で入賞を果たし、東北大学「Team Sendai」は見事総合3位という成績を収めた。


日本の“ロボコン”ノウハウを活かし
困難を乗り越えて開催した「BIOMOD」
「BIOMOD」の発祥は、ハーバード大学Wyss研究所の一研究者の提案だった。当時Wyss研究所に所属していたShawn Douglas博士から「なるべく面白く、かつフェアな分子デザインの大会を開催したい」との相談を受け、東北大学工学部機械知能・航空工学科・村田智教授ら、日本の分子ロボティクス研究者からも意見を出してコンテストの枠組みを創り上げた。村田教授らが参考にしたのは、日本の“ロボコン”。多角的な視点を組み込む若手対象のコンテストとして世界でも類を見ない“ロボコン”の考え方は、ハーバード大学にも十分に通用するものだった。実際の評価基準として、日本のロボコンのノウハウが取り入れられたのだ。村田教授が当時を振り返る。「『BIOMOD』の第1回大会は、2011年。東日本大震災が起きた年で、研究室の片付けだけでも大変なときでした。しかし準備を進めてきたコンテストを止めるわけにはいかない。必死でした」村田教授の研究室に所属する学部生を中心とする「Team Sendai」を編成し、なんとか出場を果たすも、結果は振るわなかった。「それでも学生達にとっては大きなインパクトだったようです。初めての海外、すべて英語のコンテスト。かけがえのない経験になったと思います」

知識と経験が蓄積され進化する、
有志プロジェクトの真価。
それからわずか1年、東北大学チームは「BIOMOD」第2回大会で総合優勝した。「実は本大会2カ月前に行われた国内大会は散々な結果に終わっていました。そこから火がつき、メンバーがそれぞれの役割を見つけ、本大会までにプロジェクトを磨き上げたのだと思います。初年度の反省が継承されたことも大きな要因です。このコンテストは、『これこそが自分たちのアイディア』と呼べるものを世界に向けて発信する場。学生同士でディスカッションを繰り返し、知識と経験が蓄積され、年を追うごとに進化していく。これこそ、必修ゼミでもない、授業でもない、有志プロジェクトの真価ではないでしょうか」最先端の論文を英語のまま読み、ポイントを整理し、自分たちに必要な知識をすくい出す。“超一流”に触れる機会が、学習意欲を高め、研究者の卵としてのモチベーションを上げ続けた。大会上位の座は、やみくもに進むだけでは辿り着くことができない。到達点を見据えながら一人ひとりが役割を自認し、世界と戦う自覚を持ってこそ掴むことができると、村田教授は語った。


Tales of the Order
-Universal Strand Generator-
Wiki YouTube video
BIOMOD(国際生体分子デザインコンテスト)第4回大会出場チーム
Team Sendai
3年 | ||
---|---|---|
石原瑛暉 | 工学部・機械知能・航空工学科 | リーダー |
今井俊輔 | 工学部・化学・バイオ工学科 | サブリーダー |
大高隼人 | 工学部・機械知能・航空工学科 | 設計・実験・プレゼン担当 |
大瀧悠登 | 工学部・機械知能・航空工学科 | Wiki・プレゼン担当 |
鈴木健太 | 工学部・機械知能・航空工学科 | YouTube・プレゼン・会計担当 |
渡辺泰基 | 工学部・機械知能・航空工学科 | シミュレーション・プレゼン担当 |
2年 | ||
高橋拓人 | 工学部・化学・バイオ工学科 | YouTube・プレゼン担当 |
1年 | ||
荒舘笙 | 工学部・機械知能・航空工学科 | 動画制作担当 |
川上勝太 | 工学部・化学・バイオ工学科 | 設計・実験担当 |
玉槻大輔 | 医学部・医学科 | Wiki担当 |
陳育勤 | 理学部・物理学科 | YouTubeシナリオ担当 |
平塚晶吾 | 農学部 | Wiki・実験担当 |
結城颯 | 医学部・医学科 | Wiki・実験担当 |

