Team HAKUTO and the Google Lunar XPRIZE
2017/11/08
2007年、Googleがスポンサーとなり、XPRIZE財団が運営する世界初の月面探査レース、Google Lunar XPRIZE(賞金総額3000万ドル)がスタートしました。
月面に民間が開発した無人探査機を送り、月面を500m以上走行し、その様子を高解像度の画像や動画で地球に発信すればゴール。達成すべきミッションはシンプルに聞こえますが、月面にたどり着くロケットや着陸船も含めて、すべてを自前で開発あるいは調達しなければなりません。
当初、世界中から34チームが参加していましたが、撤退、チーム合併などで16チームとなり、更に、厳しい条件をクリアしXPRIZE財団から承認された5チームが最終フェーズに進むことになりました。
【最終フェーズに進む5チーム】
SpaceIL(イスラエル)、Moon Express(アメリカ)、Synergy Moon(多国籍)、TeamIndus(インド)、HAKUTO(日本)
日本から唯一参加しているチームHAKUTO((株)ispace運営)に、本学工学研究科航空宇宙工学専攻の吉田和哉教授が開発責任者として参加しています。
吉田教授は、3億km彼方の小惑星イトカワの表面から岩石サンプルを採集し無事に帰還した探査機「はやぶさ」の開発チームにも参加した宇宙開発の第一人者であり、吉田研究室には教授のもとで学びたいと世界中から宇宙研究を志す学生が集います。
チームHAKUTOは、2015年、Google Lunar XPRIZEモビリティサブシステム中間賞を受賞しました。モビリティサブシステム中間賞とは、XPRIZEに向けて開発が進められている探査ローバーの走行機能=「モビリティ」が、月面上でも問題なく性能を発揮できることを証明できたチームに与えられるものです。 探査ローバーの開発においては他チームよりも抜きんでているものの、チームHAKUTOは月着陸船の開発を行っていません。
吉田教授は以下のように述べています。
「月へ向かう宇宙船および着陸船の開発には、特別な技術が必要です。チームHAKUTOは当初から、ローバー走行技術の開発に重点を置いてきました。月着陸については競合する最強チームとパートナーシップを結び、相乗りする戦略を模索してきたのです。」
2016年12月、チームHAKUTOは、インドから参加しているTeamIndusとローバーの相乗り契約を締結しました。HAKUTOの月面探査ローバーは、インド宇宙研究機関の打ち上げロケットPSLVで月に向かう予定です。
「このパートナーシップは両チームにとってメリットがあります。われわれがTeamIndusの着陸船に相乗りすることで、彼らの開発コストや打ち上げコストを分担することになります。もちろん、彼らも独自のローバーを開発しています。無事に月面に着陸したら、そこから本当のレースが始まります。どちらが勝っても、一位と二位を分け合うことになるでしょう。」(吉田教授)
2018年3月末までにミッションを達成するため、インドのサティシュ・ダワン宇宙センターから、チームHAKUTOとTeamIndusは月に向かって旅立ちます。