東北大学工学研究科・工学部
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PRESS RELEASE

2005/03/29

知能デバイス材料学専攻の岡田先生等の研究グループはアルミニウム合金でナノ結晶粒を達成しました。

東北大学工学研究科知能デバイス材料学専攻の岡田益男教授、高村仁助教授、亀川厚則助手のグループはアルミ合金をナノ結晶粒とする新しい方法を開発した。今回、アルミ合金をナノ結晶粒にする方法は、合金に水素を吸収・放出させる水素熱処理法でこれまで報告のない画期的な方法である。結晶粒を微細化すると合金の機械的性質が向上することが知られており、今後の応用が期待される。
通常のアルミ合金の結晶粒は20マイクロメータ(µm)程度の大きさだが、圧延熱処理法で3ミクロン程度に微細化し、強度は1.3〜1.5倍程度上昇、さらに繰り返し強ひずみ加工などで、0.3ミクロン程度に微細化し、1.7倍以上の強度が達成されているが、ナノ結晶物は達成されていない。



今回開発した結晶粒微細化方法はアルミニウムにマグネシウムを3〜7.8質量%固溶させた合金において、水素を吸着させ、放出させる水素熱処理法で、これまでに報告例のない数 10nm〜0.1µmの微細な結晶粒が達成できることを特徴とする。従って、機械的性質の大幅な向上が期待される。



この水素吸放出熱処理は水素との親和力の強い元素を主たる成分としたネオジ系磁石、チタン系合金、マグネシウム合金において、結晶粒を微細化する方法として知られており、それぞれ、特性の向上が報告されているが、水素の親和力の弱い合金への適用はこのアルミニウム合金が初めてであり、画期的な結果である。
21世紀の環境重視の社会において、燃料電池等、クリーンな社会に向けて活発な開発がなされている中で、より身近になる水素が、合金の結晶粒微細化方法として利用できることを示した今回の成果は、今後の金属加工技術に環境調和型プロセスとして新生面を開くものとして期待される。
この詳しい結果は、3月29日より横浜国立大学で開催される日本金属学会や5月の軽金属学会、6月の粉末冶金協会で発表される。

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