東北大学工学研究科・工学部
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PRESS RELEASE

2005/06/27

附属災害制御研究センターはTRUST(広域津波情報システム)の運用について発表しました。

【TRUST(広域津波情報システム)の内容】
東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター津波工学研究室は、(財)阪神・淡路大震災記念協会「人と防災未来センター」とウェザーニューズ株式会社との共同研究により、沿岸部地方公共団体が津波災害の理解を深めるための津波被害予測環境を整備し、津波来襲時においては被害予測情報や潮位観測情報をリアルタイムで共有できるシステム(TRUST=Tsunami-disaster Response with Unitive STrategies)を開発し,試験運用を平成17年4月より開始している。TRUSTシステムは以下の機能を有する。




  1. 津波防災体制強化を進めていくうえで、地方公共団体の担当者や地域住民が津波災害への理解を深めるためのシミュレーションの実行環境を提供する

  2. 巨大地震発生直後、広域で発生しうる津波被害の程度をリアルタイムで予測する

  3. 津波の観測情報を一元集約し、時々刻々と変化する津波の来襲状況を広域で把握するためのネットワークを構築する



津波が発生した場合,まず気象庁が警報や注意報を発令する.この情報に基づき,地方公共団体の首長は地域住民への避難勧告を発令するのが一般的である.しかし,津波来襲後の津波来襲・被害発生状況の把握や避難勧告の解除の決定には,津波予報区(全国66区)毎に発令される気象庁の予報値はきめ細かさに欠ける.また,気象庁の津波警報解除後においても,場所により局地的な津波増幅が発生する可能性があり,広域で津波の来襲状況を監視しながら被害の発生状況を予測・確認するための情報が必要となる.



TRUSTシステムは,上記問題のブレークスルーを図り,防災研究機関,災害対応の第一義的責任を負う地方公共団体,民間防災情報機関との協働により作り上げていくものである.津波発生時には,事前に提供された各地の地形データや潮位観測情報を元に,沿岸部に到達する津波の高さや流速,浸水規模などをリアルタイムで予測し,インターネットを利用した情報配信を行う.現在,東南海・南海地震津波の発生に備え,大阪府7港湾の潮位計,国土交通省などが室戸岬沖に展開するGPS津波計からリアルタイム観測情報の提供を受けている.



当システムの津波予測解像度は最小50mで,大型計算機(PCクラスタ)を用いてリアルタイムでシミュレーションを実施する.市町村や港湾などの狭い範囲での予測が可能となるため,津波来襲後の被害状況の予測や被害調査,救助・医療チーム派遣などを実施するための参考情報を提供できる.



巨大地震津波災害発生時においては,関係する機関が協力しながら地域全体として被害を軽減するための取り組み(広域連携)の重要性が指摘されているが,現在は市町村,県を越えて情報を共有する仕組みがない.TRUSTシステムを活用することで,広域連携による対策を具体的に進めていくための足がかりにしたい.



※現在,接続制限付きでの公開を行っている.システム詳細,ユーザID等の発行については担当者まで連絡願います.
※本システムは,文部科学省科学研究費補助金(代表:越村俊一)および大都市大震災軽減化特別プロジェクト(代表:河田惠昭,京都大学防災研究所教授)の補助を受けて開発されたものである.



TRUSTのコンテンツ表示例
http://172.25.1.8/press/press-20050627_1.html

TRUSTシステムの基本構成
※画像クリックで拡大表示
【お問合せ】

東北大学工学研究科・工学部情報広報室
TEL/ FAX:022-795-5898
E-mail:情報広報室メールアドレス

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