東北大学工学研究科・工学部
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PRESS RELEASE

2007/05/01

知能デバイス材料学専攻の藤田麻哉 准教授らの研究グループは高機能磁気冷凍化合物の球状材料作製と熱分離実証に成功しました。

知能デバイス材料学専攻の藤田麻哉 准教授と本学多元物質科学研究所の深道和明 研究教授のグループは、独立行政法人科学技術振興(JST)イノベーションプラザ宮城における「事業化のための育成研究:(藤田プロジェクト)」の成果の一環として、株式会社 東芝の協力の下、高機能磁気冷凍化合物の球状試料作製および、球状試料による熱分離実証に成功いたしました。

研究グループでは1999年に、ランタン−鉄−シリコンで構成される化合物がメタ磁性転移とよばれる特異な性質を示すことを発見し、さらに、印加磁場を変化させると化合物が巨大な熱変化(磁気熱量効果)を生じることを見出して、磁気を利用した冷凍(磁気冷凍)への応用を精力的に推進してきました。

 磁気冷凍システムは、フロン系ガスおよび代替フロンを一切用いず、気体を用いた冷凍方式よりも高いエネルギー効率を示すことが期待されるため、オゾン層破壊や温暖化の阻止など環境問題さらには省エネの観点から早急な実用化が待望されている技術です。材料をシステムに搭載する場合、磁性体が熱変化の源となり被冷却体との熱交換は水などの流体が分担します。そこで、熱変化を最大限に流体とやり取りするためには、熱変化特性を保持して最適な形状を付与することが実用化には必須です。
本学の2つの研究グループと東芝では、回転電極法と呼ばれる特殊なプロセスにより直径数百ミクロン程度の球状試料を作製し、さらに水素を吸収させることで磁気特性と動作温度を制御しました。この球状材料を、永久磁石を備えた冷凍原理検証モジュールに搭載して試験した結果、モジュールの高温端と低温端の間に約16℃の温度差が生じることが確認され、熱を移動し冷気を保持する(熱分離)動作が実証されました。

これらの成果により、本材料をシステム搭載まで視野に入れた実用化に向けて開発を進めることが現実的に可能になりました。さらに、今回のプロセスは量産に対応することも技術的に可能であるため、将来の工業化も期待できます。

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東北大学工学研究科・工学部情報広報室
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