東北大学工学研究科・工学部
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PRESS RELEASE

2007/09/07

金属フロンティア工学専攻の石田清仁教授等の研究グループは水素を発生するAl合金を開発しました。


東北大学工学部 石田清仁教授、科学技術振興機構(JST)高久佳和研究員らのグループは、室温で水を注ぐだけで水素を発生させるAl合金を開発しました。

従来、Alの微粉末である活性Al合金、AlにGaを添加した合金、さらに酸化鉄の還元・酸化の利用によって水と反応させて水素が発生する事は知られていましたが、その製造工程が複雑な事や、高価な金属を使用しなければならない事、さらに高温の水蒸気が必要である事など、コストの面で大きな問題がありました。
東北大学グループは、安価なAl合金で水素を発生させる事ができないかを、計算状態図によるシミュレーション等を駆使し、模索しました。その結果、比較的安価な元素を添加したAl合金でも、水と接触させる事で水素発生合金としての使用が可能である事を見出しました。

この新Al合金は、現在生産されているAl合金の製造と同様のプロセスで得られるので、これまで報告されている水素発生Al合金の製造方法に比べ、はるかに容易でかつ安価に試料を作製する事が出来るという大きなメリットがあります。すなわち原料コストから言えば本合金1g当り数円程度であり、従来材と比較して数分の1以下の低価格です。

この新合金と、水道水を含めどんな種類の水であっても両者を接触させる事で、Al含有量に比例していつでもどこでも水素を得る事ができるので、携帯用の電池、緊急用発電機を始め多くの用途への適用が期待できます。また現在、酸やアルカリ性の水溶液を金属に注ぐ事によって水素を発生させてきた小中学校の理科教材は時々事故が起こりますが、本合金は水と反応させるだけで良いので、非常に安全な水素発生実験供試材になると考えられます。

東北大学グループはすでにJSTより特許を出願しており、本合金に興味がある企業との共同研究により、実用化をはかりたいと考えています。

なお、本研究はJSTの戦略的創造研究推進事業CREST及びグローバルCOEプログラムにより行われました。


【本件に関するお問合せ】

東北大学 工学研究科 情報広報室
TEL:022−795−5898 FAX:022−795−5898
E-mail:eng-pr@eng.tohoku.ac.jp

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