東北大学工学研究科・工学部
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PRESS RELEASE

2008/09/22

知能デバイス材料学専攻の岡田教授らの研究グループは日鉱金属(株)と共同で、チタン銅合金を高強度化、高導電化する新しい水素化処理方法を開発しました。

知能デバイス材料学専攻の岡田益男教授、亀川厚則准教授のグループは、日鉱金属(株)と共同で、チタン銅合金を高強度化、高導電化する新しい水素化処理方法を開発した。
高強度銅合金であるチタン銅(Cu-3%Ti)は、その優れたばね性により高級コネクターやばね材として利用されている。コネクターなどの一層の軽薄短小化のために、さらなる高強度化、高導電化が求められている。現用のチタン銅の強度は約900MPa、導電率は12%IACSであり、1000MPaを超える強度と良好な導電性を併せ持つ合金の開発が待望されていた。
今回、チタン銅を水素中で熱処理することにより、強度約1100MPa、導電率約21%IACSを達成した。

 21世紀の環境重視の社会において、燃料電池等クリーンな社会に向けて活発な開発がなされている中で、より身近になる水素が、合金の高強度化の方法として利用できることを示した今回の成果は、今後の金属の熱処理・加工技術に環境調和型プロセスとして新生面を開くものとして期待される。
 この成果は文科省の「元素戦略プロジェクト」の援助の一部を受けて得られたものである。
 この詳しい結果は、平成20年9月23日より、熊本大学で開催される日本金属学会で発表される。

*社会への影響について:
1100MPa,21%IACSになると、ばね性の点でも、通電性の点でも部品を薄く、小さくできます。つまり,小さな断面積の部品に設計を変更してもばね性を維持でき,電流を流すことができます。産業界にとっては、合金使用量を減らすことができコストを下げられることが最も魅力的でしょうが、一般国民にとっては,環境重視の社会で省資源に貢献すると理解して頂いたほうがよいかと存じます。また、携帯機器等の小型化にも貢献します.
さらに,今回のプロセスでは水素を利用するだけで特殊な合金元素を添加しておりませんので、リサイクル性もよいと言えると存じます。

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