東北大学工学研究科・工学部
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PRESS RELEASE

2008/11/05

応用物理学専攻・藤原巧教授らの研究グループは旭硝子(株)と共同で、光通信網の省電力化を実現する光ファイバ型素子を開発しました。

空間選択的な結晶化ファイバにより実現

応用物理学専攻・藤原巧教授の研究グループは旭硝子株式会社・中央研究所と共同で、空間選択的に結晶を析出させた光ファイバに、外部電界を印加することにより光の強度の調整が可能な光ファイバ型素子の開発に成功した。

これまで、光強度を任意に変化できるアクティブな素子としては、主に熱光学効果による光導波路素子等があるが、動作のための消費電力が大きいという課題があった。この素子は、可変光減衰器(VOA)として光強度を一定にする役割を果たし、幹線から枝分かれする支線ごとに最低一つのVOAが必要で光ファイバの普及などで利用が急拡大している。このように多素子集積化の用途に対して、省エネルギー性能を持つ新しいVOAの開発が待望されている。

東北大と旭硝子の共同研究グループは、外部電界により屈折率が変化する特殊な結晶が析出するガラスに着目し、ファイバ化が可能な新しいガラスを開発した。実際に光が伝搬するファイバの中心部分(コア)と、光をコアに閉じ込めるための周辺部分(クラッド)のガラス組成を調整することにより、レーザー照射によりクラッドのみを選択的に結晶化することに成功した。この特殊なファイバに外部電界を印加することで、コアとクラッド間の屈折率差が変わり光強度を任意に変化させることが可能で、この動作は実質的に電流の発生を伴わないため、従来例に比べて消費電力を100万分の1程度と格段に低く抑えられる。このような光ファイバ型素子の開発例はこれまでにはなく、光通信用の省エネルギー素子として、多素子大規模化が必須となる波長多重方式への応用が期待される。

なお、本開発は文部科学省・科学技術振興調整費事業および旭硝子・リサーチコラボレーション制度の支援により実施され、詳報は本年9月に開催された欧州光通信会議(ベルギー)にてポストデッドライン論文として公開された。

本研究成果は平成20年11月4日に日経産業新聞に掲載されました。


【研究室URL】
http://www.apph.tohoku.ac.jp/fujiwara-lab/

【お問い合わせ先】
東北大学工学部情報広報室
TEL & FAX: 022-795-5898 E-mail: eng-pr@eng.tohoku.ac.jp

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