東北大学工学研究科・工学部
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PRESS RELEASE

2011/04/11

金属フロンティア工学専攻 及川勝成准教授が南極で採取された隕石から新種の鉱物を発見しました。

東北大学大学院工学研究科金属フロンティア専攻の及川勝成准教授は,米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターの中村圭子研究員らの研究チームと共同で,南極で採取されていた隕石(Yamato-691, Y-691)から,新種の鉱物を発見しました.この鉱物は, 隕石の研究で知られるJ.T. Wasson教授にちなんでWassonite(ワッソナイト)と名付けられ,国際鉱物学会(International Mineralogical Association)より,新鉱物と認定されました.この成果は,太陽系の形成と進化の理解に役立つと期待されます.

Wassoniteは,Y-691の中に含まれており,大きさが50nm×450nm程度の微小な鉱物で,チタンとイオウの2種類の元素から出来ています.これまで同種物質の人工合成での研究は当研究室でも行ってきましたが,天然鉱物として発見されたのは初めてです.

研究グループでは,微細加工に適したFIB(集束イオンビーム装置)を用いて,Y-691からWassonite近傍を切出し,ナノ構造の観察に適しているEDX(エネルギー分散型X線分析装置)がついたFE-TEM(電界放射型透過電子顕微鏡)で,Wassoniteの化学成分と結晶構造の同定を行い,新種であることを発見しました. 今後,このようなナノ解析技術により新しい鉱物の発見が進展することが期待されます.


【Wassoniteの共同発見者】
Keiko Nakamura-Messenger, Clemett, Keller and Zia Rahman: Astromaterials Research and Exploration Science Directorate, NASA Johnson Space Center, USA Alan Rubin: UCLA, USA Byeon-Gak Choi: Seoul National University, South Korea Shouliang Zhang: Lunar and Planetary Institute, USA Katsunari Oikawa: Tohoku University, Japan.

【NASAプレス発表】
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2011/apr/HQ_11-098_New_Mineral.html

Yamato-691: 1969年に日本の南極地域観測隊により,南極大陸のやまと山脈で発見された隕石の一つで,歴史的に重要な隕石です.火星と木星の間を周回していた小惑星に起源をもつと考えられています.

BOコンドリュール: コンドリュールは多くの隕石に見られる球状の粒子で,急な加熱後に急速に冷却してできたと考えられるが,詳細はわかっていない.

【お問合せ】

東北大学工学研究科・工学部情報広報室
TEL/ FAX:022-795-5898
E-mail:情報広報室メールアドレス

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