東北大学 工学研究科・工学部

2016年4,5月[Part.6]

【MIT滞在で感じた研究環境の違い】

私はマサチューセッツ工科大学Department of Materials Science and Engineering のBeach先生のグループで研究を行いました。

1.自主的な装置のビルドアップ及びメンテナンス

MITに来て最も驚いた点は、すべての測定装置やそのプログラムが自分たちでビルドアップされていたことです。実際にコイルを巻いてマグネットを作ったり、アルミ板を削りサンプル台を組み立てたりするなど、自分の手ですべてを行う様子はとても斬新な光景でした。そのため装置が壊れたときも研究室内でメンテナンスができる状態であり、こういった様子は恐らく本来のEngineerに最も近い姿なのではないかと思いました。

2.基礎学力の高さ

アメリカでは、博士課程5年のうち最初の2年は講義に多くの時間を割いているように見えました。また、必修科目を履修するために必要な課題が毎週あり、専門書籍も課題ごとに2、3冊ほどあるようです。基礎学力を鍛えた上で研究活動に移ることが、最先端の研究を行う原動力ではないかと思います。

3.質問に対する積極性

代表的な日本とアメリカの文化の違いでもありますが、MITの学生は積極的に質問、発言をします。授業や発表の途中でも質問することが自然であり、ディスカッションも頻繁に行われます。質問を歓迎する雰囲気が作られているため、先生や先輩など目上の人に対しても気楽に発言できる点はとてもいい長所だと思います。


【将来のMIT派遣研究者・学生へのアドバイス(住宅環境、日常生活)】

1.研究

派遣期間が短い場合、成果を出すことは難しいかもしれません。時間のロスを最低限にするため、渡米前に、MIT派遣期間中行う研究テーマを決たり、測定用のサンプルの用意など事前準備ができていると、MITに着いてすぐ実験を始められ時間を有意義に使えると思います。

2.英語

実際にアメリカに来て、「今まで学んだ英語と全く違う」という印象を受けました。話すスピード、イディオムなど、様々な問題に直面すると思います。渡米前に、英語を使う環境に積極的に関わっておくと現地で慣れやすいでしょう。個人的には、Skypeで毎日30分程度英会話を行ったり、英語の書籍を読んだりしました。

3.MIT生活

  • MITに着いたら、まずInternational Student Office (ISO) が毎週水曜に行っている新入留学生対象のオリエンテーションを受け、学生証を発行してもらいます。
  • MBTA (Massachusetts Bay Transportation Authority; 日本でいう電車) を使って通学する場合、MITの学生であれば学割が利用できます。学割は定員制のため、学生証が発行され次第すぐに申請することをお勧めします。
  • ボストン市内にはBoston Science MuseumやMuseum of Fine Arts など様々な施設があり、MITの学生証を提示することで入場無料、もしくは割引になる場合があります。MITキャンパス内でチケットを購入すれば、学生本人分だけでなく、その友人や家族の分まで割引価格が適用される場合もあり良心的です。

4.住宅

実際、住む場所を探すのに大変苦労しました。その理由としては・・・

  • ボストンはアメリカで家賃が最も高い都市の一つである (一人暮らしの家賃の相場が、$1600~2000/月)
  • 派遣期間が1年未満だと制約が多い (家具付きかどうか、契約期間が6か月以上でなければならない等)

経験上、最も安全な方法としては・・・

  • 最初はホテルに泊まりながら(1週間程度)不動産会社に行って部屋を探す(私はこの方法を使いました)
  • 日本の不動産会社(エイブルボストンなど)を通し契約を行う

特に、ボストンの冬はとても寒いので、家の位置や暖房施設などの確認も大切です。






PROFILE:
名前:柳 淀春
学年:D1
専攻名:知能デバイス材料学専攻
派遣期間:2015.11~ 2016.3